研究課題/領域番号 |
21K19002
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 一生 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90435660)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 共役系分子 / 近赤外発光 / ホウ素錯体 / 共役系高分子 / 超原子価 / 発光 / 近赤外 / LUMO |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、狭エネルギーギャップ構造を実現するために、従来の基本戦略である「共役系拡張」を用いない新戦略の確立を目的とする。具体的には「孤立LUMO」を有する骨格炭素をアザ置換し、LUMOのエネルギー準位を選択的に引き下げることで狭エネルギーギャップ化する機構の確立を図る。目的の実現のため固体近赤外発光の実現とメカノクロミズム応用、意図的な孤立LUMOの創出と共役系基本骨格の近赤外発光化を行う。
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研究成果の概要 |
π共役系の炭素を電気陰性度の大きい窒素に置換(アザ置換)すると、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)が安定化され両方のエネルギー準位が下がる。本研究では、孤立LUMOのアザ置換による選択的引き下げを体系化し、狭エネルギーギャップ化の新戦略として確立する。特に、拡張π共役系を持つ分子は、分子間相互作用に起因する濃度消光のため、一般的な有機発光色素と同様に固体発光性が失われ易い。そこで本研究では、小さな近赤外発光色素の開発を目指した。ベンゼン環の二か所をアザ置換し、LUMOを選択的に引き下げ、さらにホウ素錯体化により近赤外発光を得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は「孤立LUMO」という我々が初めて見出した概念に立脚し、アザ置換で選択的LUMOの引き下げを達成し、偶然性に頼らない狭ギャップ化の新戦略の確立を目指す点にある。従来の「共役の拡張」における分子の巨大化に伴う問題の解決のみならず、相乗的にさらなる長波長化も期待できる。また、量子化学計算的手法でゼロから設計可能であり、AIを用いた効率的な物質探索手法にも適用可能である。以上、本研究は我々の最近の学術的な発見に基づくため萌芽的段階であるが、達成時には狭ギャップ化の新戦略から機能性近赤外発光材料開発につながり、学術的インパクトと産業的波及効果は大きいと考えられる。
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