研究課題/領域番号 |
21K19006
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40221197)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 光反応 / ルイスペア / フォトクロミズム / 光異性化 / 光駆動触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
光反応によって炭素陽イオンからなるルイス酸と立体的にかさ高いルイス塩基を発生させ、その高い反応性を利用する新規な光誘導型触媒FLP(Flustrated Lewis Pair)を光により形成させる。カルボニル基やエステル部の光による活性化や、環状エステルの開環重合反応などに展開し生分解性フォトポリマー分野に革新をもたらす。基礎学術においては、6π光閉環反応系の特徴とされる熱開環反応に対する軌道対称禁制効果を利用することが本研究の特徴であり大きな立体障害を有する高活性種の光形成を目指している。
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研究実績の概要 |
近年、光反応をトリガ―とする触媒反応の開発が強力に進められている。しかしその大半は光電子移動によるものでラジカル反応に限定されている。ラジカル反応は高活性ではあるがラジカル移動やラジカル転移など副反応を完全に制御することは困難で、精密化学プロセスのためにはイオン反応系を効率よく制御することが求められる。高反応活性イオン反応のアプローチとして近年活発に研究が進められているのがFrustrated LewisPair(FLP)であり本研究では、その光駆動すなわち光誘導型FLP触媒(Photo-triggered FLP, PFLP)の開拓を目指している。FLPは極めて高い反応活性を有し、CO2固定化反応、環状エーテルやラクチドの開環重合によるポリ乳酸合成など幅広い検討が進んでいる。関連論文はすでに2000件を超えておりなお急増している。PFLPでは外部から薬剤投入を必要とせず、常温常圧あるいは低温・局所的にFLPを誘導することが可能となる。光反応によって炭素陽イオンを誘導するとともに立体的にかさ高いルイス塩基アニオンを発生させ、その高い反応性を利用する新規な光誘導型触媒FLPを光により形成させる。これまでに光によるルイスカチオンの形成を達成しており、その光反応感度を決定づける光反応量子収率は25%を超えており実用の光酸発生材などと同程度であることを見出した。またアニオンについては、現時点ではルイス塩基制度が低いユニットに限定されてきたが、分子合成を進めルイス塩基制度の強化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究では、ヘキサトリエン-シクロヘキサジエン光閉環反応と後続するイオン乖離反応により高活性ルイスペアを構築してきた。すでに反応分子骨格の最適化を進め、プラットフォームとなる骨格の決定に至っている。脱離性ユニットとしてトリフラート基やカルボキシル基のように比較的ルイス塩基性度の低いユニットについてはすでに一定の成果を得ている。さらに立体障害により高活性化されたルイスペアFLPの形成を目指しジイソピルアミノ基-N(CH(CH3)2)2の導入を進めている。装置の故障などで研究に遅延が発生したものの、すでに回復しておりR5年度の早い時期には最終目標を達成できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は装置の故障のため研究に遅延が発生しており、研究期間の延長が認められた。すでに分子座色湯の合成はほぼ終了しており、今後その光反応と光駆動型触媒活性の検証に取り組む。具体的には光閉環反応に伴うアニオンユニットの非可逆脱離を進め、安定なルイスペアを形成し、ラクチドのような反応性の低い環状モノマーの重合開始などに取り組む。反応量子収率とともに触媒速度定数およびターンオーバーサイクル数などを評価する。
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