研究課題/領域番号 |
21K19010
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野谷 一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90633412)
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研究分担者 |
田中 正樹 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50830387)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 自発配向分極 / 振動発電 / 極性制御 / 有機低分子材料 / 分子配向 / 有機薄膜 / 有機半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究提案では環境発電技術の一つである振動発電に着目し、その核心材料であるエレクトレット材料の性能を飛躍的に高め、これまでにない革新的なエレクトレット材料を創出することを研究目的とする。近年、永久双極子を有するある種の有機半導体薄膜が、蒸着薄膜中で自発的に分子配向し、自己組織的にエレクトレットを形成することが徐々に明らかとなりつつあるが、これまでに探索されてきた有機半導体エレクトレット膜の表面電位スロープは100mV/nm程度である。そこで本研究では、新規極性有機半導体分子の設計、非晶質薄膜中での分子配向に関する基礎研究を通し、200 mV/nm以上という未踏な性能の実現を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、静電誘導型振動発電素子の高性能化を実現に向け、その核心材料であるエレクトレット材料の高性能化を目標に研究を実施した。有機低分子蒸着薄膜が自発的に形成する分極に着目し、薄膜中の分子配向をより積極的に誘起可能となる分子骨格を提案した。具体的には分子中にフッ化アルキル基を導入することにより、薄膜表面における表面エネルギーを調整し、フッ化アルキル基が表面側に優先的に配向するような分子をデザインして評価した。開発した有機自発配向分極膜は、分極極性が制御されるとともに、100 nmの膜厚で±10 V以上の自発配向分極を示した。これは実用化されているエレクトレット材料の性能を駕する値である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、有機低分子材料の成膜条件が自発配向分極特性に極めて大きく影響すること、さらに分子設計により分子配向を積極的に誘起し分極極性を制御できることを明確に示した。今後、極性の異なる自発配向分極薄膜をエレクトレットとして集積化することで、振動発電素子の発電効率を高めることができると期待される。また自発配向分極薄膜は、有機EL素子などの電荷注入特性にも大きく影響することから、本研究成果は有機EL素子などに代表される有機エレクトロニクスデバイス開発にも寄与できると期待される。
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