研究課題/領域番号 |
21K19020
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 道生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (10647655)
|
研究分担者 |
奥村 大河 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90867508)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | バイオミネラリゼーション / アラゴナイト / 双晶 / 欠陥 |
研究開始時の研究の概要 |
炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶は双晶と呼ばれる、結晶内のカルシウムと炭酸の原子配置が反転した現象が起こり易いことが知られている。この双晶の密度が貝殻の種類によって厳密に制御されていることから、貝殻に含まれる何らかの有機分子が双晶の密度や方向の制御に重要であると考えられた。そこで、双晶の密度の高い貝殻および双晶の密度の低い貝殻から有機分子を抽出し、in vitroのアラゴナイト結晶形成実験を行うことで、双晶の形成に重要な因子を特定する研究を行う。
|
研究成果の概要 |
バイオミネラリゼーションにより形成された鉱物は、人工的には合成が難しいマイクロもしくはナノオーダーの緻密な微細構造を有しており、形態、方位、多形、サイズ、欠陥の密度などが非常に厳密に何らかの有機分子により制御されていると考えられている。しかしながら、欠陥の密度を制御する有機分子に関する報告はこれまで存在しない。炭酸カルシウムの準安定相であるアラゴナイトの結晶欠陥である{110}双晶の密度を上昇させる新規の基質タンパク質をカサガイの殻から同定した。この基質タンパク質にはグルタミンに富む配列が多数存在し、凝集化することで{110}双晶を誘導する可能性がin vitroの実験より示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
双晶のような結晶欠陥を多数内在させることで、へき開が連続的に起こることを防ぎ、結晶の断裂の範囲を限定することが可能となる。すなわち結晶の欠陥を制御することができれば、生物が持つような高強度、高靭性の材料を人工的に作り出すことにつながるかもしれない。さらに、交差板構造では双晶の方向が平行に並んでおり、このように欠陥の方向を制御することで特定の方向に強い特殊な機能性材料の合成手法の開発に貢献する可能性も考えられる。今回の研究成果により双晶の導入に関与する有機分子が明らかになれば、それを人工的に模倣することが可能となり、新規の高機能材料を自在にデザインすることが可能になるかもしれない。
|