研究実績の概要 |
本研究では、地球の地下空間に遍在する最適な,1)温度,2)圧力,3)組成の条件を満たすホットスポットをミューオン透過測定及び地質調査から見つけ出し,資源合成へと活用することで『天然合成実験施設=ジオファクトリー』の実現を目指している.特に2年目は、1年目で土台を作った①ミューオン透視装置開発および密度マッピング(川出),②地質調査による組成マッピング(森),③到達可能な地下条件での燃料合成法の開発(二村)の3つのについてさらに深化させるための検討を行った。 ①については,予定していた軽量化・コンパクト化したミューオン透視装置2号機の完成には至っていないが,既に完成した初号機の動作試験・キャリブレーションにより実地試験で利用する準備が整った。 ②では川出,森,二村の三者合同で研究対象地域である溝口露頭に赴き,ドローン探査による地形マッピング実験を行い研究対象を確認し合った. ③では,放射光施設フォトンファクトリーの高圧XビームラインであるBL18Cで,多孔性カーボン細孔中に閉じ込めた水の高圧下でのin-situ X線散乱の実験を行った.これにより,ナノ空間中の水はバルクでは結晶化する圧力条件でも結晶化しない特異な状態であることが明らかとなった.さらに,再現性及び細孔径依存性に対する追加の実験のためのビームタイムが新規に採択された(48時間/年, 受理番号2023G042).多孔性材料が有するナノ空間を利用した資源合成の研究への展開が期待される.
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