研究課題/領域番号 |
21K19025
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 勝久 京都大学, 工学研究科, 教授 (80188292)
|
研究分担者 |
村井 俊介 京都大学, 工学研究科, 助教 (20378805)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
|
キーワード | ランダム系 / 酸化物 / 強磁性 / 希土類 / アモルファス / 固溶体 / アモルファス酸化物 / 不規則酸化物 / マグノン / 薄膜 |
研究開始時の研究の概要 |
固体の磁気的性質は、磁気モーメントと呼ばれる原子レベルでの微細な磁石の集合体を考えることによって説明される。永久磁石のような強い磁場を生じる固体の性質は、磁気モーメントが規則正しく並んだ状態が実現して初めて観察されると考えられてきたが、研究代表者らは、ガラスのように構造が乱れた酸化物固体でもこの種の強い磁性が見られることを明らかにした。本研究ではこのような物質群を拡張するとともに、磁気モーメントが波のように伝播するマグノンという現象を見いだすこと試みる。
|
研究成果の概要 |
希土類酸化物をベースとしたランダム系の酸化物磁性体に関して以下の二つの研究成果が得られた。まず、Tb3+を高濃度に含有するAl2O3-SiO2-B2O3系酸化物ガラスを作製し、種々の分光学的手法を用いてガラス構造を明らかにするとともに、ガラスが室温において短波長領域で大きな磁気光学効果を示す組成を明らかにした。また、ペロブスカイト型EuZrO3のEu2+をアルカリ土類金属イオンで置換した固溶体の磁性を調べ、Ba2+を30 mol%置換した固溶体ではEu2+による磁気モーメントが希釈され、またその分布がランダムであるにもかかわらず、極低温ではあるが強磁性が現れることを見いだした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
酸化物ガラスに代表されるランダム系の酸化物固体に磁気モーメントが導入されると一般にはスピングラス相のような無秩序な磁気構造が現れ、強磁性のような秩序磁性を得ることは難しい。本研究で合成した固溶体の一種であるEu0.7Ba0.3ZrO3はEu2+に付随する磁気モーメントが空間的にランダムに分布しているにもかかわらず強磁性を示すことを明らかにした点は固体化学や固体物理学の基礎の観点から学術的に意義がある。一方、Tb3+高含有ガラスの磁気光学効果は、開発が遅れている可視域から紫外域の光アイソレーターなどを作製する上で実用的に価値のある成果である。
|