研究課題/領域番号 |
21K19036
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
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研究分担者 |
宮武 由甲子 北海道大学, 医学研究院, 助教 (10421984)
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (60451431)
繁富 香織 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (90431816)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 三次元培養 / がん治療 / 光治療 / アポトーシス / スフェロイド / 光がん治療 / 活性酸素 / 一重項酸素 / 光励起 / 光機能性分子 / すい臓癌 / 量子ドット / 細胞死 / 膵癌(膵臓がん) / 光線がん治療 / 半導体量子ドット / 光線力学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、難治療性がんである膵がん細胞組織における未解明の捕食機構を解明し、これを利用した高効果の光がん治療薬を完成させることである。申請者らは、生体内を模した環境で培養した膵がん組織が、周辺の死細胞類を捕食(=取り込み) することを最近発見した。この捕食は、死細胞と同サイズの酸化ケイ素粒子には起きないため、申請者らは捕食を誘引する物質が死細胞に存在すると仮説を立てた。本研究では、捕食誘引物質の単離と構造解析による同定を行う。そして同定物質を利用した新化合物合成を行い、膵がん細胞への取込み効率の向上により高い効果を発揮する新規光がん治療薬の開発を行う。
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研究成果の概要 |
申請者ら開発の3D培養基板を用いて、細胞集団の挙動を利用したがん光治療薬開発を目的とした。死細胞成分を蛍光ビーズに化学修飾して接合させ、細胞集団による捕食挙動を評価する手法を確立した。このビーズを用いたリアルタイム蛍光顕微鏡観察の結果、ネクローシスとアポトーシスによる細胞由来の成分では細胞集団への異なる接着/被捕食挙動が見られた。これを進め捕食誘引物質の同定に至る道筋が見つかった。また、がん光治療薬のテンプレート部位として、各種光増感剤やナノ粒子の新規開発に成功した。本研究により3D培養法を利用した物質開発の方法論を確立し、トロイの木馬型殺がん化合物の完成に必要な基盤を整えることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒト体内組織の特徴をもった3D培養系を用いた薬剤化合物開発は、世界的にも黎明期で報告例がほとんどない。本研究はその一端を担うものであり、3D細胞に特徴的な挙動の理解・利用を進める手法として重要な知見を与えるものである。本研究が標的とした膵がんは難治療性がんとして知られ、世界的にも治療薬開発が特に望まれているものの一つである。膵がんの3D細胞における知見を得られた点でも、本研究は意義のあるものである。以上を踏まえた本トロイの木馬型殺がん化合物の完成によって得られる成果の新規性と科学的インパクトは非常に高いものである。
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