研究課題/領域番号 |
21K19040
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 晃充 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60314233)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 核酸 / 化学合成 / 集合体 / ハイブリダイゼーション / マイクロRNA / 相分離 / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
化学合成短鎖核酸は細胞に入り込むと速やかに細胞核へ移動して、核内で蓄積する。蓄積した核酸が集合体を作る場合、その集合体が一定の濃度で結合タンパク質を呼び寄せることができれば、相分離を引き起こして液滴状顆粒を形成するかもしれない。核内DNA結合性タンパク質のトラップによる「DNA不溶化」による強制的な液滴状顆粒の形成は、核膜内膜領域の「流動性」「粘度」「屈折率」を局所的に大きく変える可能性がある。ヘテロクロマチンが形成するコンパートメントと融合しない液滴になった場合には、ゲノム高次構造に大きな揺らぎを与えて、核膜内膜周縁部の物資輸送やゲノムのトポロジカル関連ドメインに改変が起こるかもしれない。
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研究成果の概要 |
我々は、連続ハイブリダイゼーションによって集合体を形成する配列を持つ1対の化学合成ヘアピン型核酸を作成した。試験管内実験でこの核酸対がmiRNAを起点にして集合体を形成することを確認した。核酸対を細胞導入剤とともにHeLa細胞に加えると細胞質でmiRNAを起点にして集合体を形成した。核酸の蛍光標識のFRETの蛍光顕微鏡観察によって観察を行った結果、細胞質内で相分離を引き起こして液滴状顆粒を形成していた。さらに、FACSで解析すると、標的のmiR-21を過剰発現した細胞でFRET由来の強い蛍光が現れたのに対し、miR-21の発現量が小さい細胞ではFRET由来の蛍光が弱かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の研究成果として、ヘアピン型人工核酸が細胞質内で相分離を引き起こすことやその原因が自然免疫関連タンパク質cGASの結合によること、さらにはその複合体形成が細胞死へ至らしめることが明らかになり、新たな部類の核酸医薬品のタネを見つけることができた。将来的には、化学合成ヘアピン型核酸対についてさらに検討を加えることによって他のタンパク質をトラップして効率的にノックダウンできる相分離系を作成したい。
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