研究課題/領域番号 |
21K19053
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平井 剛 九州大学, 薬学研究院, 教授 (50359551)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | グルコサミノグリカン / 代謝耐性型アナログ / C-グリコシド / ヒアルロナン / 水素添加反応 |
研究開始時の研究の概要 |
グルコサミノグリカンは、アミノ糖とウロン酸が交互に連結した長鎖の多糖である。その多くは細胞外に存在し、シグナル伝達や生体恒常性などに寄与している。 グルコサミノグリカンが生体内酵素によって分解されて生じる8-20糖程度の長さの中分子量グルコサミノグリカンには、その長さ依存的な生物活性が知られている。しかし、中分子量のグルコサミノグリカンも分解される可能性があるため、その詳細な研究はあまり進んでいない。本研究では、酵素に分解されず、ホンモノと同じ構造的性質を有するアナログの開発を目指している。
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研究実績の概要 |
設計したヒアルロナンアナログ3種を、如何に効率的に合成するかが、本研究のポイントとなる。その実現には、4つの鍵反応を開発する必要があった。昨年度までに、4つの鍵反応のうち、2つの解決に成功していた。残る2つの鍵反応は、C-グリコシド型2糖構造からヒアルロナン2糖ユニットへの変換過程で必要な4置換オレフィンの立体選択的水素添加、および2糖ユニット同士のグリコシル化による糖鎖伸長反応である。 本年度は、この2つを十分に検討するための原料の大量合成を検討し、GlcA由来のアクセプター、およびGlcNAc構造をもつドナーを各10グラムスケールで合成することに成功した。しかしながら、当初から懸念されたことではあるが、昨年度開発した2つ目の鍵反応である光レドックス触媒を用いるカップリング反応のスケールアップが困難であり、収率がスケールアップと共に低下する傾向があることがわかった。現在は、小スケール合成を繰り返し、C-グリコシド型2糖構造の合成を進めているが、今後はフロー反応などの検討が必要と考えている。また、本カップリングの触媒系で使用する試薬が高価なものが多く、大量合成時の懸念事項の一つとなっていた。そのために今年度は、よりフロー反応に適し、安価な触媒系への変更を検討した。依然として改善の余地はあるが、本カップリング反応のコスト削減が可能である感触を得るに至っている。 一方で、3つ目の鍵反応であった水素添加反応では、設計した3種のアナログ合成のうち、2つの合成には成功していた。残るもう一つのアナログ合成を実現するためには、まずは水素添加反応の基質合成を改善する必要があった。今年度は、モデル化合物において、その課題を克服できる新たな手法を開発した。次年度は、この知見を活かし、最後のアナログ合成を実現したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度終了時点としては、概ね想定内であり、またモデル化合物による検討ではあるが、現時点で把握している問題のいくつかは解決する方法をすでに見出している。
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今後の研究の推進方策 |
モデル反応による検討を活かして原料を合成し、3つ目の課題である4置換オレフィンの水素添加反応の最適化したい。 合成したヒアルろナンC-グリコシド2糖アナログを糖鎖伸長の実現に向けたグリコシル化反応の検討も実施し、多糖型ヒアルロナンC-グリコシドアナログの合成を実現したい。
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