研究課題/領域番号 |
21K19056
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
岡田 正弘 神奈川大学, 工学部, 教授 (40377792)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ペプチド / 微生物 / フェロモン |
研究開始時の研究の概要 |
ある微生物において、未知の遺伝子が破壊されると形状が大きく変化することが明らかとなり、その遺伝子を解析したところ、ペプチドを生産する遺伝子であると推定された。この結果から、そのペプチドの作用により形状が大きく変化すると考えられたが、これまでそのような例は全くない。そこで、その遺伝子により生産されるペプチドを解明することにした。ただし、遺伝子が判明したからといって、その遺伝子により生産される化学物質を特定することは極めて困難であるため、本研究は挑戦的な研究課題といえる。
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研究実績の概要 |
ロドコッカス属細菌、ロドコッカス・エリスロポリスにおいて、非リボソームペプチド生合成遺伝子群と考えられる遺伝子の破壊株のコロニーやバイオフィルムの形成が、野生株と比較して大きく変化した。そのため、該当する非リボソームペプチド生合成遺伝子群が生合成するペプチド様物質が、ロドコッカスの形態変化を引き起こす形態変化誘導物質であると仮定した。 昨年2022年度、ロドコッカス・エリスロポリスJCM 2895野生株の培養抽出液を、同遺伝子破壊株に加えて最少培地で培養したところ、遺伝子破壊株の一部の細胞が野生株のように浮遊することが確認できた。しかし、本年度追試をしたのだが、再現性に乏しい結果となった。そこで、まずコンタミネーションの可能性を排除するために、濾過滅菌をおこなった。次に、富栄養培地で予め培養して菌体量を増加させた遺伝子破壊株を用いることにした。すなわち、富栄養培地であるLB培地を用いて30度、72時間振盪培養した後に、野生株の培養抽出液を加えて再び、30度、24時間振盪培養した。その結果、遺伝子破壊株の細胞が野生株と同様の形状に変化することが確認できた。遺伝子破壊株の培養抽出液を用いて同様の操作を行なった場合では形状は変化しなかった。再現性も得られた。したがって、ロドコッカス・エリスロポリスJCM 2895野生株の培養液には形態変化物質が含まれていることが明らかとなった。現在、野生株の培養抽出液を分画して、各画分を用いた生物検定を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再現性が得られない場合も想定していたため、生物検定法の再検討自体は問題ないと考えている。むしろ、再現性よく遺伝子破壊株の野生株型への形態変化を誘導でき、野生株の抽出液には形態変化誘導物質が含まれていると示すことができたため、今後の研究の遂行にとっては重要な知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
ロドコッカスの形態変化を引き起こす形態変化誘導物質の精製、構造決定に着手する。ただし、非リボソームペプチドの化学的特性に起因すると考えられる、精製後の活性強度の低下が考えられるため、粗精製条件の詳細な検討が必要である。なお、過去の研究例から見て、形態変化を誘導する、いわゆるフェロモンと呼ばれる物質の分泌は極微量であることが多いため、過剰生産させる培養条件や、効率よく抽出する抽出条件の検討も行う予定である。
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