研究課題/領域番号 |
21K19062
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
竹下 典男 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (20745038)
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研究分担者 |
織田 健 独立行政法人酒類総合研究所, 研究部門, 主任研究員 (10434466)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | コウジカビ / Aspergillus oryzae / 麹菌 / 菌糸 / 核 / 酵素生産 / 育種 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
コウジカビAspergillus oryzaeは、古くから醸造醗酵に利用され、現在は有用酵素生産の宿主としてバイオ産業で利用されている。その要因として分解酵素を大量に分泌する能力が挙げられる。研究代表者は、培養時間の経過に伴ってA. oryzaeの核が異常に増える現象を発見した。本研究では、核増加の分子機構を解明することを目的とする。A. oryzaeは育種されてきた糸状菌で、その近縁種では核の増加が見られない。A. oryzae100株、近縁種のゲノム比較と核の増加の表現型解析を行いその相関から候補遺伝子を選抜し、形質転換により確認する。その知見を利用して、 産業利用可能な有用糸状菌の作製を試みる。
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研究実績の概要 |
コウジカビAspergillus oryzaeの核を蛍光標識し、培養経過と共に細胞内の核の数が増加する現象を発見した。このような核の増加は、他のAspergillus属において前例がなかった。核の増加と酵素生産性には相関があることが予想され、麹菌の高い酵素生産性に関わる表現型の可能性がある。そこでその表現型に関わる分子機構を明らかにすることを目的とした。A. oryzaeの近縁種であるA. flavusでは核の増加は見られなかった。醤油と焼酎の醸造に利用されるAspergillus属の種にAspergillus sojaeとAspergillus luchuensisでは、A. sojaeで核の増加が見られ、A. luchuensisでは見られなかった。A. oryzaeの清酒用のある株では 核の増加が見られ、醤油用のある株では 核の増加が見られなかった。ライブイメージング解析により核が増加する菌糸が分岐により出現すること、時間の経過とともに核の多い菌糸が優占することが示された。培地に酵母エキスを加えると核が増加することが示され、核の増加とアミラーゼ酵素活性の相関も示された。 トランスクリプトーム解析により核が増加する条件で発現量が上昇する遺伝子群が明らかになった。細胞壁関連、細胞膜関連、カルシウムの恒常性に関わる遺伝子があった。ゲノム情報が明らかとなった実用株の近縁種で表現型を解析したところ、核が増加する株としない株が確認された。異なる表現型を示す同一クレー ド内の株を対象に、ゲノム比較解析を行い、ORF内に変異がある遺伝子をいくつか見出した。これらのことから、核の増加に関わるいくつかの候補遺伝子が得られた。これらの遺伝子破壊、遺伝子高発現、遺伝子置換により表現型に関わる遺伝子の機能解析を進めた。
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