研究課題/領域番号 |
21K19065
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
葛山 智久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30280952)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | テルペン / 生合成 / 環化酵素 / 遺伝子 / 酵素 / 環化 / 反応機構 |
研究開始時の研究の概要 |
天然に約8万種の多様な構造の報告例があるテルペン類は、鎖状の基質に対してテルペン合成酵素が作用することで、複雑な多環骨格と絶対立体化学が厳密に制御されて生合成される。申請者は最近、既存配列とは相同性を示さないために誰も気がついていないまったく新しいテルペン合成酵素を発見した。そこで、この新しい酵素ファミリーに属するテルペン合成酵素をゲノムデータベースからさらに発掘して機能解析を行うことで、新規なテルペン化合物を発見できると着想した。新規テルペン化合物の発見は、有機合成化学者や生化学者にインパクトを与えて彼らの興味を誘起することで、天然物化学研究分野のみならず生化学分野の発展に大きく貢献できる。
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研究成果の概要 |
ある微生物が生産する複雑な環構造をもつある生物活性物質Xの生合成に関与する遺伝子を同定することに成功した。そのXの生産に中心的な役割を担うテルペン合成酵素TC2の組換え酵素の精製を試みたところ、可溶性酵素が得られた。次に、この精製した酵素に基質と考えられたGGPPとMg2+を加えてインキュベートし、反応産物を酢酸エチルで抽出、濃縮後、GC-MSで分析したところ、生物活性物質Xと同一物質であることが判明した。以上の結果より、TC2が生物活性物質Xを生合成する酵素遺伝子であることを明らかにすることができた。これは、生物活性物質Xの生合成遺伝子を同定した初めての例として重要な知見である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題では、複雑な化学構造をもつ生物活性物質Xの基本骨格を作り上げる生合成酵素の遺伝子を同定することに成功し、この生合成遺伝子から推定されるアミノ酸配列が、既知のテルペン合成酵素とはまったく相同性を示さない新しい酵素ファミリーであることが分かった。このような酵素の発見は、人類にとって有用な活性を示す化合物Xを大量に安価に調製するための製造方法の開発につながる成果と言える。また、この新しい酵素ファミリーに属するテルペン合成酵素をゲノムデータベースからさらに発掘して機能解析を行うことで、人類がこれまでに手にしたことのない新たな有用なテルペン化合物の発見につながる点でも重要な成果と言える。
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