研究課題/領域番号 |
21K19092
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 圭祐 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40580460)
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研究分担者 |
寺田 祐子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80767632)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | コク味 / Calsium-sensing receptor / 甘味タンパク質 / リゾチーム / ソーマチン / ペプチド / タンパク質 / 味覚受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
高分子であるタンパク質は一般的に味への寄与がないと考えられてきた。しかし我々は、コク味受容体の応答評価系を用いて様々な食品素材をスクリーニングし、本受容体を活性化させる新規成分としてタンパク質であるリゾチームとソーマチンを発見した。本研究ではこれら2つのタンパク質をモデルとして、タンパク質のコク味機能の実態とその分子メカニズムを明らかとする。
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研究実績の概要 |
本研究では、我々が発見したコク味受容体活性化タンパク質の作用機序解析を通じ、“コク味”の一部を科学的に解明することを目的とする。最近、「そのもの自体には味がないものの、好ましい基本味を増強する」“コク味”の受容体(Calsium-sensing receptor;CaSR)が特定され、CaSR の活性化を指標とした分子レベルでのコク味成分の探索・解析が可能となった。本研究では我々が見出した2つのタンパク質によるCaSR活性化メカニズムを解明する。これまでの研究で、リゾチームおよびソーマチンのアミノ酸配列を全網羅するペプチドライブラリーを合成し、CaSR応答を精査した結果、リゾチームよりも約12倍高活性なオルソステリックアゴニストとしてペプチドLを特定した。また、ソーマチンよりも約2倍高活性なポジティブアロステリックモジュレーターとしてペプチドTも特定した。各ペプチドを構成するアミノ酸残基を1残基ずつAlaに置換したペプチド群を合成し、CaSR活性を評価した結果、リゾチームおよびソーマチンタンパク質の分子表面に位置するペプチド領域がCaSRとの相互作用に重要であることが示唆された。さらに、ペプチドLを構成する各アミノ酸残基については19種類の他アミノ酸で置換したペプチド群についても網羅的にCaSR活性を評価し、各残基の寄与を明らかとした。また、CaSR活性化能がリゾチームの80倍、ソーマチンの20倍に向上した機能性ペプチドを見出すことにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響により、プラスチック機器などの入手困難、値上がりがあったものの、全体としては当初の計画通りに進捗しており、大きな問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、甘味タンパク質であるリゾチーム及びソーマチンの分子表面に由来するペプチドLおよびTがCaSRを活性化させることを見出した。しかしこれらのペプチドが甘味受容体であるhT1R2/hT1R3を活性化するかどうかは不明である。ペプチドLおよびTがhT1R2/hT1R3を活性化した場合は、高分子であるタンパク質に共通するclass C GPCR作用化メカニズムを理解する上で有用な知見が得られ、大きな波及効果が期待できる。そこで今後は、甘味受容体応答評価系を用い、ペプチドLおよびTとhT1R2/hT1R3との相互作用を詳細に解析する。
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