研究課題/領域番号 |
21K19093
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
原田 直樹 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (00529141)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | インスリン / 膵臓β細胞 / 小胞体ストレス / tunicamycin / caspase-12 / 膜電位 / アポトーシス / インスリン受容体 / インスリン様増殖因子 / 膵β細胞 / 組織特異性 |
研究開始時の研究の概要 |
ホルモン濃度は、その産生細胞周辺では遠方組織と比較して極めて高い。インスリンを産生する膵β細胞周辺と遠方の筋肉・脂肪組織では、細胞外インスリン濃度が大きく異なるが、いずれの組織でも、生理的濃度の変化を感知して細胞内情報伝達を活性化する。本研究では、膵β細胞と筋肉・脂肪組織におけるインスリン認識の相違について明らかにすること、さらに、膵β細胞におけるミトコンドリア機能に注目した抗細胞死抑制作用メカニズムについて明らかにすることを目的とする。これらの研究成果は、ホルモンの作用機構や糖尿病発症機構の一端を明らかにすることが期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では、主に膵臓β細胞における小胞体ストレスに対するインスリンの影響について検討を行った。INS-1β細胞において、小胞体ストレス誘導剤に対するアポトーシスがインスリンによって抑制された。膵β細胞に対するアポトーシス抑制作用において、インスリンはIGF-1よりも生理的に重要であると考えられた。インスリンは小胞体ストレス自体を抑制せずにアポトーシスを抑制した。インスリンのアポトーシス抑制作用は、ミトコンドリア膜電位の上昇抑制を一部介しているが、活性酸素種の消去によるものではないと示唆された。インスリンによる作用はcaspase-12を介した調節であることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵臓β細胞量の減少に伴うインスリン分泌の減少は、糖尿病の発症や進行につながる。そのため、膵臓β細胞量を調節するメカニズムを理解して応用することが、糖尿病の予防につながる。本研究では、重度の小胞体ストレスによるアポトーシスに対して、インスリンが抑制に重要であること、一般的なアポトーシスと異なって高次に分化した膵β細胞では小胞体ストレスによってミトコンドリア膜電位が上昇し、インスリンによって減少するという学術的に興味深い現象が観察された。これらの結果は、インスリンが筋肉や肝臓、脂肪組織に加えて、膵臓β細胞自身の維持にも生理的に重要な役割をもつことを示すものである。
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