研究課題/領域番号 |
21K19098
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
井上 晴彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (10435612)
|
研究分担者 |
堀 清純 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, グループ長 (50442827)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | コメ / 食味 / 微生物叢 / 土壌 / ゲノム解析 / イネ / マイクロバイオーム / 糖転流 |
研究開始時の研究の概要 |
山形県の9ヶ所の同一イネ品種について、米の食味評価を実施するとともに、コメに含まれる微生物叢のネットワーク解析を実施した。その結果、食味評価値の差と有意な相関関係を示す、コメ由来の微生物群を見出すことに成功した。既知のライブラリーより、上述の単離系統の数種を添加した炊飯米では、食味値や粘りなどの食味特性が向上するものもあり、コメの食味の違いに微生物が影響する可能性が示唆された。そこで、最も良食味であった圃場のコメから、ライブラリーを作製し約3,000の株を単離した。本研究では、このライブラリーの全てのバクテリアを同定し、良食味化バクテリアを単離することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
イネ植物体および栽培土壌からバクテリア16S rRNAアンプリコンシーケンスから微生物叢の系統解析を実施した。また、シーケンスで得られた微生物の分類データと、土壌データ、気象データ、食味試験データを用いた相関解析により、栽培土壌環境の違いにおける微生物叢の比較、異なる気象条件下での微生物叢の比較、収穫したコメの含有成分および食味官能試験の評価値と玄米表層の微生物叢との比較を行った。玄米表層微生物叢と食味総合値との比較から、食味総合値が高い地域で、玄米表層に付着するActinobacteria門の割合が高い傾向がみられた。また、食味官能試験の評価値と玄米表層の微生物叢に注目すると、食味官能試験3項目(食味総合値, 香り、味)とActinobacteria門の間で有意な相関関係が検出された。そこで、炊飯食味計およびテンシプレッサーを用いてActinobacteria門に分類される微生物が与える食味の影響を評価した。Actinobacteria門を添加した炊飯米は、無添加の炊飯米と比較して、食味値、外観、粘りの3項目において有意差が検出された。また、テンシプレッサーによる測定により、Actinobacteria門とProteobacteria門の2系統でコメの全体の硬さに影響が見られた。現在、これらの実験の再現性の確認を行っているところである。また、これらの微生物のゲノム解析を進めるか現在検討しているところである。さらに、気象条件や栽培条件が微生物叢に与える影響を調査するために、異なる播種日で栽培した収穫米および異なる施肥条件で栽培した収穫米を取得した。今後、これらのコメの微生物叢を比較する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食味のアッセイは非常に時間がかかるために、一度に多くのサンプルを測定できなく、また使用する装置が限られているために実験ができない。このために、時間がかかっているのが現状である。現在、この実験系を使って継続的な実験を行っているが、同時にこの実験系が最適な系であるかを改めて解析している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、微生物を添加したコメのアッセイを進めており、この実験がうまく行けば微生物のゲノムシーケンスまたは、発現解析等を検討している。また、同時に、コメの外観や粘りへの影響が見られていることから、微生物処理後のサンプルのコメの表層構造の変化なども調査する計画である。
|