研究課題/領域番号 |
21K19106
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
天知 誠吾 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (80323393)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 土壌還元消毒 / ASD / カプロン酸 / Clostridium / トマト萎凋病菌 / 青枯病菌 / 揮発性脂肪酸 / Fusarium oxysporum / 中鎖脂肪酸 / トマト萎凋病病原菌 / トマト青枯病菌 / 有機酸 / 嫌気性細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、安全かつ環境にやさしい土壌還元消毒(ASD)が注目されている。ASDは米糠や糖蜜などの有機物を土壌に混和し、灌水後、フィルムで被覆・密閉する。その過程で、酸素が急激に消費され、植物病原菌が消毒される。一方、ASDの消毒因子は未だ不明で、低温下での効果の不安定性や、コスト高と加えて、本技術の汎用性の妨げとなっている。申請者は最近、ASD処理中に顕著に優占する嫌気性細菌(E801株)の分離に成功し、本菌が生産する中鎖脂肪酸が消毒因子の1つである可能性を見出した。そこで本研究では、E801株を用いて安価に中鎖脂肪酸を発酵生産し、その施与により低温下でも低コストに土壌消毒が可能か検討する。
|
研究成果の概要 |
Clostridium sp. E801株の生産する揮発性脂肪酸の1種、カプロン酸がトマト萎凋病菌を完全に消毒できることがわかった。カプロン酸による消毒効果は青枯病菌に対しても認められた。さらに、トマト萎凋病菌に対する生育阻害効果は、低温条件かつ好気条件でも確認された。カプロン酸を土壌に添加するだけで、土壌中のトマト萎凋病菌を完全に消毒できた。E801株の生育を最適化し、最大120 mMのカプロン酸を生産することに成功した。以上の結果より、E801株またはカプロン酸を用いた土壌消毒法を特許として申請した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
土壌還元消毒(ASD)は、幅広い作物の病原菌に対し消毒効果を示すが、冷涼地域では還元化が進行せず、効果が不安定である。また、土壌くん蒸剤と比較して処理費用も高い。従って、低温かつ低コストで消毒効果を発揮できれば、ASDは世界中で利用可能な革新的技術となり得る。本研究より、カプロン酸を土壌に施用することで、簡便に土壌を消毒できることがわかった。また、その効果は低温下でも発揮されることが示唆された。さらに、E801株を用いて安価な酢酸とエタノールから高濃度カプロン酸を発酵生産できることもわかった。今後、圃場試験などを通してさらに検討を進めることで、革新的な土壌消毒法の実現に繋がることが期待される。
|