研究課題/領域番号 |
21K19113
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80335306)
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研究分担者 |
西山 総一郎 京都大学, 農学研究科, 助教 (50827566)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 果樹 / トランスポゾン / DNAメチル化 / エピジェネティクス / 果実成熟 |
研究開始時の研究の概要 |
代表者らはブルーベリー果実の成熟メカニズムを研究する過程で、トランスポゾンdomesticationを示唆する事象を発見した。作業仮説として、DNAメチル化レベルによるエピジェネティックな制御によりトランスポゾンの時空間特異的転移の正確性が規定される可能性を考えている。本研究では、ブルーベリーの果実成熟におけるトランスポゾン制御のメカニズムを明らかにする。研究成果は、トランスポゾンが動くメカニズム解明への一助となり、生物のトランスポゾン研究の前進に大きく貢献できる可能性がある。また、得られる知見を利用してトランスポゾンを用いた新たな育種戦略を確立できる可能性もあり創造性が高い。
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研究実績の概要 |
最近、グローバルなDNAメチル化/脱メチル化が果実の成熟プログラムに関与することはトマトなど多くの果実で報告されている(Liu et al., 2015; Huang et al., 2019)。また、色素合成に関わるMYB遺伝子領域のトランスポゾン挿入ならびにそれに伴うDNAメチル化の変化が、ブドウなどの果実色変異の原因であることも知られている(Butelli et al., 2012; Castillejo et al., 2020)。一方、代表者らはブルーベリーの成熟におけるエピゲノム動態について研究を進める過程で、トランスポゾンがある特定の時期にある特定の器官で正確に切り出される、すなわち植物がトランスポゾンを正確に制御し、果実発達制御に利用していることを示唆する現象を発見した。 本研究の目的は、果実着色における時空間特異的トランスポゾン制御の関与の可能性を検証し、その制御メカニズムを明らかにすることである。これまでに、果実の着色開始時にDNAメチル化レベルが変動することを明らかにでき、DNAメチル化がブルーベリーの着色に関わる可能性を示した。 本年度は、①着色遺伝子近傍のトランスポゾン配列解析、②トランスポゾン制御遺伝子候補の機能評価実験に用いるための早期開花ブルーベリー個体の作出をおこなった。①については、トランスポゾン様配列の一部を特定できたが、全配列決定には至らなかった。一方②については、形質転換効率の改良をおこない、開花抑制遺伝子をゲノム編集によりノックアウトすることで、通常個体よりも半年早く開花する個体の作出に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
果実着色遺伝子近傍に位置するトランスポゾン配列を決定するため、nanoporeシークエンス技術を応用することを試みたが、解析に必要な高品質DNAを果実から抽出することが困難だった。そのためこの区分の研究の進展はやや遅れていると判断した。一方、機能評価実験に用いるための材料の整備・獲得には成功した。
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今後の研究の推進方策 |
果実からのDNA抽出法を改良する実験に加えて、栄養生長器官から抽出したDNAで着色遺伝子近傍の配列を決定し、得られる情報からPCRによってトランスポゾン配列の決定を試みたい。
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