研究課題/領域番号 |
21K19119
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鈴木 康嗣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 特定准教授 (00896087)
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研究分担者 |
堀江 真行 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (20725981)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 内在性ウイルス配列 / 媒介蚊 / 古代ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
シマカ属の蚊はヒト病原性ウイルスに加え、人に感染性のない蚊特異的ウイルスにも感染している。一方で媒介蚊に深刻な病態を示すウイルスの報告は皆無である。そのため、シマカに高い病原性を持つウイルスの同定は、新たな媒介蚊制御法につながり得る。本研究では、蚊病原性ウイルスの探索元として、現存するウイルスではなく、シマカのゲノムに化石として残るウイルス遺伝情報の内在性ウイルス配列に着目し、蚊に深刻な病態を誘導する古代のウイルス遺伝子の同定と復元に挑戦する。
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研究成果の概要 |
シマカは多くのヒト病原性ウイルスを媒介するが、シマカ自体に重篤な病態を誘導するウイルスは皆無である。本研究では古代ウイルスが蚊に高い病原性を持っていた可能性を考え、その探索元としてEVEに着目した。EVE探索は、複数のバイオインフォマティクスツールを用いて最適な検出条件を検討し、ネッタイシマカゲノムから長いORFを持つEVEが多く同定された。これらの遺伝子を人工合成し、ネッタイシマカ細胞および個体に過剰発現させたが、細胞変性や生存減退は見られなかった。シマカへの病原遺伝子の同定には至らなかったが、本研究成果は、シマカが進化の過程でウイルス感染への高い寛容性を獲得したことを示唆するものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多くのヒト病原性ウイルスを媒介するシマカは、自身がウイルスに感染しても重篤な病態を示さないため、蚊に病態を誘導するウイルスの同定は、その制御につながる。我々は、その探索元として、古代のウイルスに着目し、シマカのゲノムに残る内在性ウイルス配列(EVE)を様々な生命情報学ツールで探索を実施した。その結果、新たな古代ウイルス由来と考えられる遺伝子を同定し、人工合成を行った。これらの遺伝子をシマカの細胞株と個体内で発現させたが、細胞傷害や寿命の減退は見られなかった。本研究はEVE探索の適切なツール選択の重要性とシマカのウイルスに対する高い寛容性を示唆し、ウイルスと蚊の共進化の理解を深めた。
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