研究課題/領域番号 |
21K19138
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
市田 健介 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70882637)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 生殖細胞移植 / 細胞表面抗原 / 生体染色 / トランスフェリン / A型精原細胞 / ヘテロな発現 / トランスフェリン受容体 / 精原細胞移植 |
研究開始時の研究の概要 |
代理親魚技術においては一部の精原細胞のみが移植後に代理親の生殖腺に取り込まれることが明らかとなっている。つまり、本技術を成功させるためには、精原細胞の可視化、単離、追跡という一連の細胞操作が必要となる。そこで精原細胞の操作技術の簡略化・効率化を目的とし、トランスフェリン受容体に注目した。申請者らはニジマスの未成熟精巣においてトランスフェリン受容体が精原細胞の細胞膜特異的に発現していることを明らかにしている。そこでトランスフェリンや鉄イオンを細胞内へ取り込むというトランスフェリン受容体の特徴を利用し、蛍光物質で標識したトランスフェリンや鉄イオンを取り込ませることで、精原細胞の生体染色を試みる。
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研究実績の概要 |
申請者らはニジマスESTライブラリーにおけるin silico解析およびRT-PCR解析にて、ニジマストランスフェリン受容体1(tfr1)がA型精原細胞の膜表面で発現していることをこれまでに明らかにしている。そこで本分子の特性を用いて蛍光標識トランスフェリンおよび蛍光標識鉄をA型精原細胞に取り込ませることによる生体染色の樹立を最終目標として、昨年度は実際にtrf1のニジマス精巣および精巣細胞に対しての発現解析を行った。今年度は、発現解析でポリクローナル抗体を作成し、得られたtfr1抗体を用いてニジマス精巣細胞を酵素分散した生細胞に対して染色した結果、一部のA型精原細胞のみをヘテロに染色することが明らかとなった。また生体染色を行うためにトランフェリンに蛍光色素のAcidiFluor ORANGEを標識した蛍光トランスフェリンを用いて、ニジマス精原細胞の染色を試みたが、ニジマス生殖細胞特異的、あるいはtfr1抗体と一致する形のシグナルは得られなかった。しかしながら、tfr1抗体を用いて染色した一部のA型精原細胞をセルソーターを用いて分取し、ニジマス孵化稚魚に対する移植実験を行った結果、tfr1抗体陽性のA型精原細胞は抗体陰性のA型精原細胞と比較して高い値を示し、tfr1は生着能の高い細胞を標識できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の通り、本研究に取り組む過程で、tfr1陽性のA型精原細胞が陰性のA型精原細胞集団よりも生殖細胞移植に用いた際に高い生着能を有する可能性が示唆された。これは研究開始当初からは予想していなかった結果であり、今後の発展次第では精原幹細胞研究に大きな影響を与えうる大きな成果と言える。しかしながらトランスフェリンを利用した生体染色については当初計画した方法論に基づいた染色を達成できなかったため、他魚種への応用という点については取り組めていない引き続き生体染色については継続してゆく予定であるが、上記の理由から「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、蛍光トランスフェリンを用いた、ニジマス精原細胞の生体染色技術の開発を目指す。本研究ではhumanのトランスフェリンを用いたが、今後は組み換えタンパク質により作成したニジマストランスフェリンを用いて生体染色をはじめ今年度とは異なる蛍光トランスフェリンを使用予定である。またtfr1は生着能の高いA型精原細胞を標識できる可能性が示唆された。これまでの研究から生着能の高いA型精原細胞は生殖幹細胞である可能性が示唆されている。今後はtfr1陽性のA型精原細胞のトランスクリプトーム解析やノックダウン解析などを行うことで、精原幹細胞の研究へと展開可能と期待される。
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