研究課題/領域番号 |
21K19142
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷川 東子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10353765)
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研究分担者 |
濱口 京子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60343795)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
平野 恭弘 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60353827)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 土壌動物 / 腸内フローラ / 土壌環境 / 菌叢解析 / リター分解 / 腸内細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
「分解」は森林の物質循環の要である。「分解」プロセスは、前半の「リターの細断とその初期消化」は土壌動物が担い、後半の「無機養分の放出」は土壌微生物(細菌・真菌など)が担うというリレー形式が採られている。分解リレーの“隠れた走者”である「土壌動物の腸内微生物叢(腸内フローラ)」の実態は不明な点が多い。そこで「腸内フローラ」に焦点をあて、土壌環境傾斜のある複数の林分を用いたシンプルな比較系で、腸内フローラの環境間比較を行い、腸内フローラの環境応答性を評価することを目指す。
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研究実績の概要 |
体長1mm未満のトビムシ類を材料として、一個体レベルでの腸内微生物叢のアンプリコンシーケンス解析が可能であるかを検討した。広葉樹林(森林総研関西支所構内)、ヒノキ林(愛知県幸田および静岡県三ケ日)のリターおよび土壌からツルグレン装置によりトビムシを抽出し、顕微鏡下で科レベルの同定を行った。得られたトビムシのうち、シロトビムシ科、イボトビムシ科、ツチトビムシ科、ムラサキトビムシ科、アヤトビムシ科、トゲトビムシ科それぞれ複数個体を材料とした。個体ごとに体表面の洗浄・殺菌を行った上で腸内容物DNAを抽出し、細菌類と真菌類のメタゲノム解析を行った。細菌の解析には16S rRNA V3/V4領域を、真菌類ではITS2領域を用いた。個体によっては、腸内容物が得られない、1stPCR産物が増幅されないなどの理由で解析を続けられなかったため、最終的にアンプリコンシーケンス解析データの取得に至った個体は、全サンプル個体の75%程度であった。データを取得できたサンプル個体については、細菌、糸状菌とも、個体あたり数十から数百のOTUが得られた。そこで、トビムシの腸内と土壌中との間に微生物叢の差異が認められるか、また、トビムシの分類群間で腸内微生物叢の差異が認められるかについて比較を行ったところ、土壌とトビムシ腸内および、調査地間で差異がみられたが、トビムシ分類群間では差異は認められなかった。なお、支所構内のトビムシ腸内の真菌類は、クロカビ類、アオカビ類および、木材やリターの腐朽菌に大きく偏っており、これは、培養や顕微鏡観察をベースとした先行研究による知見と矛盾しないものであった。以上のことから、トビムシ一個体レベルでの腸内微生物叢のアンプリコンシーケンス解析は可能と考えられたが、データの妥当性や精度を検証するため、反復を増やした比較検討をさらに行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者の子の養育や、研究遂行(土壌動物の体表の除菌法の模索)に予想以上に時間を要したことから、若干の遅延を生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度明らかになった土壌とトビムシ腸内の差異、調査地間差、トビムシの分類群間差の結果を、さらに試料数を増やして検証する。具体的には腐朽菌が少ないとされる針葉樹林に生息するトビムシの腸内微生物解析数を増やす。また、サンプル数が十分でない真菌類の解析数を増やす。得られたアンプリコンシーケンス解析データについて、逐次比較および非計量多次元尺度法によって、環境間や分類群間にみられる差異を比較検討し、結果を総括する。
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