研究課題/領域番号 |
21K19145
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山野 隆志 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (70570167)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 非膜オルガネラ / 相分離 / クラミドモナス / ピレノイド / CO2濃縮機構 / 葉緑体 |
研究開始時の研究の概要 |
葉緑体内に発達するピレノイドは、地球上の炭素固定の約3割を担い、生物相の一次生産を根幹から支えるオルガネラである。ピレノイドを陸上植物に導入し、光合成を改良することで作物の生産性向上につなげようとする研究が進められているが、相分離するピレノイドの性質そのものの理解が十分ではないため成功していない。本研究において、ピレノイドをモデルとした相分離オルガネラの消失に関わる因子を同定することは、植物が陸上化に伴ってなぜピレノイドを消失していったのかという植物科学の大きな謎を明らかにするだけでなく、食糧問題の解決に向けた植物バイオマス生産の増大という喫緊の課題からも重要である。
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研究成果の概要 |
本研究は、効率的な水圏光合成の駆動に非膜オルガネラであるピレノイドの消失機構の解明を目指した。モデル緑藻クラミドモナスのピレノイドのマーカーを発現する株にランダム変異を導入し、約15,000株のスクリーニングを行った結果、ピレノイドの数と位置に異常がある変異株を複数単離した。次世代シーケンサーを用いて変異の原因遺伝子の同定を進めるとともに、ピレノイドの分裂の高解像度タイムラプス観察系を立ち上げ、野生株と変異株のピレノイド分裂様式の差を定量化することに成功した。いくつかの変異株については、光合成に関する表現型解析を進め、ピレノイドの数を1つに規定する生理学的意義が見えてきた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、水中で効率的な光合成に重要なピレノイドという細胞内器官の消失機構の解明を目指したものである。クラミドモナスでピレノイドに目印を付け、ピレノイドが異常となった変異株を選抜し、その数や位置に異常のある株を複数単離した。原因遺伝子の特定や、高解像度顕微鏡によるピレノイド分裂様式の定量化にも成功した。本研究は、藻類がピレノイドを失った仕組みの理解を深めるとともに、将来的には陸上植物へのピレノイド導入による光合成効率の向上や、食料問題の解決につながる可能性を秘めている。
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