研究課題/領域番号 |
21K19177
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
喜久里 基 東北大学, 農学研究科, 准教授 (90613042)
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研究分担者 |
徳武 優佳子 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90824657)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 硫黄呼吸 / 含硫アミノ酸 / ミトコンドリア / 鶏胚 / ニワトリ / 鶏卵 / 低酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
最近、哺乳動物における新たなミトコンドリアATP産生様式として、含硫アミノ酸の代謝産物を用いた硫黄呼吸が明らかになった。一部の細菌は硫黄呼吸を行うことはすでに知られているが、高等動物でもその実体が確認されたことから、同呼吸は低酸素環境におけるミトコンドリアATP産生として重要な役割を担うと推察される。鶏卵には含硫アミノ酸が多く含まれており、また、胚発生時には低酸素状態に陥りやすい。鶏胚ではATP産生の一部を硫黄呼吸で賄っている可能性があるが、その実体は明らかではない。本研究では、鶏胚発生における硫黄呼吸の実体を検証し、鳥類における硫黄呼吸の生物学的意義を世界で初めて明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、鶏胚の発生時において、メチオニンやシステイン等の含硫アミノ酸を用いた硫黄呼吸が生じているか否かを検証した。鶏胚より単離・調製した繊維芽細胞(CEF)を孵卵中の鶏卵環境を模した低酸素環境(約14-15%)で培養した。その結果、アミノ酸不含培地での培養によってCEF細胞数は著しく減少したが、ここに含硫アミノ酸を添加することで細胞数が大きく増加した。また、この増加は他のアミノ酸添加では生じなかった。以上の結果より、CEF細胞は、マイルドな低酸素環境下において含硫アミノ酸をエネルギー基質として補助的に利用している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
硫黄呼吸は細菌類で見出された生体現象であり、これまでに高等動物では哺乳動物のみで見つかっている。本研究より、孵卵中の鶏胚では補助的ではあるものの含硫アミノを用いて生体エネルギーを得ていることが示され、鳥類でも硫黄呼吸が生じている可能性が示唆された。このことは、鶏胚に多くの含硫アミノ酸が含まれる生理的意義の一つとして説明できる可能性がある。産業動物であるニワトリは孵化後の成長が重要であり、孵化直後は残存卵黄から栄養素を供給する。鶏胚を高酸素状態で孵卵し、含硫アミノ酸の消費を減らすことができれば、残存卵黄に含硫アミノ酸を多く含むことが可能になり、孵化後成長の増大が見込めるかもしれない。
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