研究課題/領域番号 |
21K19182
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関澤 信一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80760420)
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研究分担者 |
栃内 亮太 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90833997)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 三叉神経脊髄路核尾側亜核 / 鼻粘膜 / 免疫染色 / アストロサイト / ヒスタミン / H3受容体 / くしゃみ / 鼻アレルギー / 三叉神経脊髄路核尾側亜核 鼻粘膜 免疫染色 / 三叉神経核 / ヒスタミンH3受容体 / アルブミン感作 |
研究開始時の研究の概要 |
鼻アレルギーは、抗ヒスタミン剤(H1受容体拮抗薬)等による対症療法で対処されているが、その効果は十分ではなく、過剰なくしゃみや鼻水等の誘発には未知のメカニズムが包含されている可能性がある。本研究では、くしゃみを誘発するための情報が中枢(延髄)において過剰に増幅されるのではないかと考え、その仕組みにヒスタミンH3受容体が関与しているかどうか探求していく。動物モデルを用い、鼻アレルギーの誘発が延髄におけるH3受容体をどのように変化させるか確認し、その変化を受容体の拮抗薬や作動薬により補正することで過剰なくしゃみ反応等を減弱させることができるかどうか検討していく。
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研究実績の概要 |
鼻粘膜三叉神経からの入力がある三叉神経脊髄路核尾側亜核の特定部位を、カプサイシン刺激によるC-fosタンパク発現の増強を標識として免疫組織学的に同定することができた。当該部位を観察部位として、今後利用していくことに決定した。 また、F344ラットを卵白アルブミンで感作し、その後、OVAを鼻粘膜に曝露することで、鼻アレルギーモデルを作製した。実際に、感作した動物への鼻粘膜OVA曝露は、感作していない動物への鼻粘膜OVA曝露と比較して、くしゃみ反射の頻度、および鼻部の掻破行動時間を有意に増大させた。ちなみに、感作していない動物に対して、鼻粘膜へのOVA曝露と生理食塩水曝露した場合は、両群間でく誘発されるしゃみ頻度等に有意な差は認められなかった。また、感作動物における鼻粘膜では、AB-PAS染色により多数の杯細胞が明瞭に観察された。 OVAに感作した動物へ鼻粘膜OVA曝露を複数回行った後、延髄を採材して、三叉神経脊髄路核尾側亜核におけるヒスタミン受容体3、GFAP、およびDAPIによる蛍光免疫染色を実施した。対照として、非感作動物への鼻粘膜生理食塩水曝露群を設定した。ヒスタミン受容体3は、シナプス前部に分布していると思われる点状の染色、アストロサイト上に分布していると思われる星状のGFAPとの共染色、および神経の細胞体に発現していると思われる球状の染色像を示した。GFAPの発現状態は感作動物において低下していたが、ヒスタミン受容体3の発現状態も低下しており、より顕著であった。したがって、鼻アレルギー状態の三叉神経脊髄路核尾側亜核では、ヒスタミン受容体3の発現は低下していることが判明し、ハウスダスト+オゾンに曝露されたアカゲザルの結果と類似しており、ヒトへの外挿可能性が高い結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鼻粘膜三叉神経からの入力がある三叉神経脊髄路核尾側亜核の特定部位を、カプサイシン刺激によるC-fosタンパク発現の増強を標識として免疫組織学的に同定することができている。 F344ラットを卵白アルブミンで感作し、その後、OVAを鼻粘膜に曝露することで、鼻アレルギーモデルを作製し、実際に、当該動物においては、対照群と比較してくしゃみ反射誘発頻度の増強、杯細胞の明瞭化等が観察され、モデル動物として適切であることが示されている。 感作動物の三叉神経脊髄路核尾側亜核におけるヒスタミン受容体3の発現は、大きく低下している可能性が免疫組織化学染色により示され、今後、当該受容体を治療標的として検討できる基礎的データを提供できた。
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今後の研究の推進方策 |
鼻アレルギーにより、ヒスタミン分泌がいたるところで亢進している可能性があると考えたことから、ヒスタミン受容体、特にそのサブタイプ3標的として研究を行ってきた。今後、その他のヒスタミン受容体、特にサブタイプ1についても同様の実験を行うことで、サブタイプ3が特異的な標的となり得るか、その可否を明らかにしていく必要がある。
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