研究課題/領域番号 |
21K19189
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高島 康弘 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (70469930)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 多能性幹細胞 / 全能性 / 胚体外細胞 / 未分化 / ナイーブ型多能性幹細胞 / 8細胞期 / マーモセット / 霊長類 / 卵割期様細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
人工多能性幹(iPS)細胞の樹立によって、転写因子セットを体細胞に導入することで、動物細胞も多能性を持った細胞へとリプログラミング可能であることが示された。しかしiPS細胞は多能性幹細胞であり全能性細胞ではない。本研究では霊長類の全能性を解析する。本提案は、受精卵がもつ全能性という生命の根源と始まりを今までアプローチできなかったヒトを含む霊長類において解析し、げっ歯類との比較解析を行う。
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研究成果の概要 |
全能性とは、受精卵が有する個体を構成するすべての種類の細胞(胚体外細胞を含む)に分化することができる能力である。げっ歯類であるマウスES細胞は、胎盤へ分化できないとされ、多能性幹細胞とされる。一方、本研究において、霊長類であるヒトES/iPS細胞から着床前胚である胚盤胞の栄養外胚葉に分化誘導することができた。さらに誘導した栄養外胚葉から胎盤を構成する細胞性栄養膜細胞や合胞体性栄養膜細胞、絨毛外性栄養膜細胞に誘導することに成功した。すなわちナイーブ型ヒト多能性幹細胞は広義の全能性を有するとする研究成果を得、論文として報告した(Io et al., Cell Stem Cell)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ナイーブ型ヒト多能性幹細胞(PSC)から胎盤を構成する細胞が誘導できた。マウスと違いヒトPSCは広義の全能性を有する。またナイーブ型ヒトPSCからヒト卵割期様細胞を取り出すことにも成功しており、卵割期細胞や胚盤胞の細胞を幹細胞として解析することも可能にした。ヒト胚は倫理や質の問題があるが、樹立した幹細胞を用いてヒト胚研究を補完することが可能になり、ヒト初期発生研究の基盤として学術的意義がある。 また胎盤は妊娠を維持する上で必須の臓器である。本研究で構築したモデルは、従来の倫理的規制を遵守したまま、初期胚の研究の可能性を広げ、不妊症や、胎盤に関連した妊娠合併症の病態解明に繋がる社会的意義も有する。
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