研究課題/領域番号 |
21K19196
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
吉川 欣亮 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, プロジェクトリーダー (20280787)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 育種 / 家畜化 / 野生マウス / 防衛本能 / ゲノム多型 / 多型マーカー / 連鎖解析 |
研究開始時の研究の概要 |
日本産野生マウス由来の近交系であるMSMは、近交系化(家畜化)された現在も噛みつき行動や逃亡行動などの防衛本能が残存している。本研究では、MSMマウス同様にその起源を日本産野生マウスに由来し、極めて類似したゲノム構成を有するが、防衛本能を失ったJF1マウスとの交配実験、表現型解析および遺伝子型判定に基づく順遺伝学的アプローチによってMSM系統の防衛本能に関わるゲノム多型および遺伝子を同定し、さらに同定したゲノム多型をゲノム編集することによって温順、従順な野生マウスを作成する。
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研究実績の概要 |
日本産野生マウス由来の近交系MSM/Ms(MSM)の攻撃性および逃亡行動に関わるゲノム多型を同定することを目的に、本年度は連鎖解析のための交配実験を実施した。 連鎖解析のため、本研究ではMSMマウスと、MSMマウス同様に日本産野生マウス由来の近交系であり、MSMとは異なり温順なJF1/Ms (JF1) マウスを交配のパートナー系統として正逆交配を行い、捕獲後の噛みつき時間を指標とした攻撃性、およびマウスケージからの逃亡時間を指標とした逃亡行動の解析を行った。JF1を雌、MSMを雄とした交配によって得られたF1マウスにおいては、MSMとほぼ同様の攻撃性および逃亡行動を示した。また、MSMを雌、JF1を雄として得られたF1マウスにおける表現型も調査個体数は少ないものの、同様の傾向を示したが、正逆交配におけるF1マウスにおいては、攻撃性が弱く、逃亡行動も示さない個体も僅かではあるが認められ、攻撃性と逃亡行動が分離した個体も認められた。これらの結果から、修飾遺伝子多型の存在が示唆されたが、MSMマウスの攻撃性および逃亡行動は顕性遺伝することが推察されたことから、F1マウス間の交配によってF2マウスを作製し、連鎖解析を行うことが有用であると推察され、その作製に着手した。 また、我々は昨年度MSMとJF1マウス間のゲノム多型の判定システムを構築したが、広範囲でマーカー不在の領域が存在していたため、マーカー設置を試み、4箇所に新たなマーカーを設置することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
MSMとJF1マウス間のF1マウスの作製において、喰殺が続き、産仔を得るまでにかなりの時間を要した。従って、行動解析においては、現時点でも統計学的な解析が可能なデータが得られていない。特に、MSMを雌、JF1を雄とした交配において得られたF1はわずかであり、F2マウスはまだ得られていないため進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、JF1を雌、MSMを雄とした交配系からは順調に産仔が得られており、この交配によって得られたF2マウスの連鎖解析を先行的に進め、MSMを雌、JF1を雄とした交配に基づいたF2マウスにおいては個体が得られ次第解析に取り組む。 また、連鎖解析によって同定された遺伝子座に含まれる候補遺伝子においては、MSMおよびJF1マウス間において遺伝子発現比較解析を実施するとともに、in situハイブリダイゼーションによって脳組織における局在を調査する。加えて、MSMおよびJF1マウス間の遺伝子発現比較解析を実施し、連鎖解析の補足データを取得する。
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