研究課題/領域番号 |
21K19201
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 良和 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20374225)
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研究分担者 |
横山 武司 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20719447)
長尾 翌手可 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (30588017)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | RNA / クライオ電顕 / タンパク質複合体 / リボソーム / RNA-タンパク質複合体 / 構造解析 / タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
RNAはタンパク質合成をはじめ、多岐にわたる重要な役割を担う生体高分子化合物である。RNAが機能する際、パートナー蛋白質と複合体を形成して機能することが多いため、RNAの機能を理解するにはRNAと蛋白質の複合体の構造を明らかにすることが重要となる。本研究では、目的のRNA配列を巨大粒子の表面に露出させることで構造解析したい「RNA-蛋白質複合体」を巨大粒子表面に形成させ、これを近年、発展の著しいクライオ電顕単粒子解析の手法により、丸ごと構造解析する技術を開発する。
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研究実績の概要 |
RNAは多岐にわたる重要な役割を担う生体高分子化合物である。多くの場合、RNAはパートナー蛋白質と複合体を形成することにより複雑な生体反応を実現している。そのため、RNAの機能を理解するにはRNAと蛋白質の複合体の構造を原子レベルで明らかにすることが鍵となる。本研究では、RNA配列をリボソームRNAに挿入して表面に露出させ、ここに結合するタンパク質を結合させることにより、「RNA-蛋白質複合体」をリボソーム表面に形成させ、これを丸ごと構造解析する技術を開発することにより、RNA科学の研究領域を加速することをめざす。前年度までにループに任意のRNAを挿入したリボソームを調製し、またそれに結合するタンパク質分子の調製系を構築した。当該年度は、RNA挿入リボソームに目的タンパク質を結合させた状態で構造解析を行った。挿入RNAとタンパク質の密度は不明瞭であったため、この領域にマスクをかけてfocused classificationおよびfocused refinementにより、この領域の構造に応じて粒子を分類し、類似した構造を有する粒子を用いて3次元構造を再構成した。その結果、挿入RNAおよびこれに結合したタンパク質のマップを可視化することができた。剛体フィッティングを行い、RNAとたんぱく質の構造をフィッティングさせることにより、RNAとたんぱく質の複合体の構造モデルを構築することができた。一方で、明らかになった構造を比較すると、挿入RNA領域には相当なフレキシビリティーが存在することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クライオ電顕単粒子解析により、RNA挿入リボソームの立体構造を高分解能で構造決定できる基盤技術を構築することができた。また、挿入RNAに結合したタンパク質を可視化し、RNAーたんぱく質複合体の構造モデルを実験により得られたマップから構築できた点は非常に大きな進捗と言える。一方で、focused classificationによって明らかになった構造では、挿入RNA領域の大きな構造変化が確認された。この構造変化により、可視化したい領域の密度は依然として不明瞭であり、改善が必要と言える。これらの状況を考え合わせ、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により、挿入RNA領域が大きく動いていることがわかった。また、結合しているたんぱく質のマップの密度も不明瞭であった。挿入RNAの動きについては、複数の箇所に挿入して構造解析し、動きの少ない挿入箇所を見つけ出すことが重要と思われる。たんぱく質の密度の不明瞭さについては、RNA部分の動きとともに、タンパク質の占有度の低さが要因の一つと考えられる。占有率を上げるために、大多量のタンパク質を共存させることにより、平衡状態を複合体側に寄せ、複合体の割合を向上させることで、密度を改善することができると考えられる。これらの条件検討を行うことで、挿入したRNAと結合たんぱく質のマップの分解脳を向上させることが今後取り組むべき課題である。
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