研究課題/領域番号 |
21K19212
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岩本 真幸 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40452122)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | チャネル / 脂質2重膜 / 集散 / 電気生理 / 蛍光 / 離合集散 |
研究開始時の研究の概要 |
脂質2重膜上における膜タンパク質2次元密度を自由自在に制御する実験手法を確立し、イオンチャネル1分子機能解析に応用することで、密度-活性関係の解明を目指す。ポイントは、①独自の脂質2重膜実験法でのリアルタイム膜面積操作によるタンパク質2次元密度制御、②高密度集団中にある1個の分子だけから活性の信号を取得する実験デザイン、である。これら2つを組み合わせ、“2次元分子密度軸に沿った活性制御”という、タンパク質制御概念の新基軸展開に挑戦する。本研究では、そのたたき台となる最も基礎的な実験データの取得を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では膜タンパク質の細胞膜上での離合集散と活性の関係を解明することを目標とし、それに向け、独自の人工細胞膜実験技術・CBB法を応用し、①膜タンパク質2次元密度制御の基盤実験技術の確立と、②イオンチャネルを使った実証実験を行う。 これまでに、蛍光標識した膜タンパク質・KcsAカリウムイオンチャネルを人工細胞膜に組込み、全反射蛍光(TIRF)観察にてKcsAに由来する多数の輝点を膜上に観察することができている。そこで、これら輝点が1個のチャネル分子に由来するものなのか、あるいは複数のチャネル分子が集合しているものなのか、輝点の蛍光消光ステップ数により判別を試みた。この実験に際し、励起光強度と撮影時間、そして撮影した映像から各輝点の消光ステップ数をカウントする方法について検討を行い、最適な実験手順を確立させた。興味深いことに、予備実験ではKcsAチャネルには膜上に単分子で存在している状態と、複数分子が集合している状態があることが示唆された。さらに、各状態の確率は溶液のpHや膜脂質組成によって変化する可能性を示す結果が得られた。溶液のpHはKcsAチャネルの活性化因子であり、また、酸性pHで活性化したKcsAは膜脂質組成によって活性修飾を受けることが明らかになっている。よって今回得られた結果は、集合状態と活性の関係を反映している可能性があり、今後より詳細な検討を行う必要がある。一方、当初の研究計画遂行に必要な、2次元密度のみに関与する不活性なKcsA変異体の作製については難航しており、適切な変異導入部位の発見にはまだ至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始直後に購入した高感度顕微鏡カメラの納入が遅れ(半導体不足の影響による)、蛍光観察実験の開始が予定よりも遅くなり、その影響が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画の推進途中で派生した内容ではあるが、蛍光単分子観察によってKcsAチャネルの離合集散が溶液pHや膜脂質組成によって変化する可能性が示されたことは大変興味深い。今後この結果についての詳細な検討を続ける。また、当初のスケジュールより遅れている“膜面積操作”による物理的な離合集散制御法の確立と、その操作によるチャネル活性へ影響の検討も前進させたい。特に、その過程で必要となる2次元密度のみに関与する不活性なKcsA変異体の作製についてはこれまで難航してきた。今後は、1アミノ酸置換に限定せず、多重変異体も視野に入れ検討する。
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