研究課題/領域番号 |
21K19219
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 (2023) 京都大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
三好 知一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (60378841)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Alu / レトロトランスポゾン / 転移 / LINE-1 / ゲノム / SINE |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、Aluとよばれるゲノム上を移動するレトロトランスポゾンの分子機構を明らかにすることを目指し、生化学と遺伝学を融合したアプローチによって、その宿主制御因子を同定しようという試みである。Aluは個体間のゲノムバリエーションを生み出す原動力となる一方で、破滅的な遺伝情報の破壊も引き起こし、場合によっては疾患原因となる遺伝子変異を伴う。この転移を繰り返すAluの分子機構は殆ど分かっておらず、その宿主制御因子を発見することは、我々のゲノムの成り立ちや、発生過程および環境変動によって変化するゲノムの性質を知る上で極めて重要である。
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研究実績の概要 |
Aluの転移をモニターするレポーターコンストラクトは、G418耐性遺伝子ただ1種類しか存在しない。このためコロニー形成能の低い細胞株や既に遺伝子改変によりG418耐性となっている細胞株についてはAluの転移を観察することができない。そこでAluの転移アッセイをより多くの細胞株または生体内に適用し、かつその制御因子を広範に探索するための遺伝学スクリーニングへと発展させるために、これを蛍光蛋白質EGFPによって可視化する手法の開発に取り組んだ。新規に作成したAluの転移可視化コンストラクトを細胞に導入したところ、既に報告されているG418耐性遺伝子で測定されたAluの転移頻度と、EGFPで可視化した場合で、ほぼ同等の転移頻度が観察された。さらにEGFP陽性細胞をFACSソーティングによって回収しゲノムを調べたところ、実際にこのAlu転移レポーターがゲノム上に挿入されていることが確認された。すなわち薬剤耐性ではなく蛍光蛋白質によってAluの転移を測定する実験系が新たに確立された。この新規Alu転移アッセイ系を記述した論文を国際誌に投稿する準備を進めている。このように本研究の目標の一つである遺伝学的スクリーニングにむけた準備が整ってきたが、なお転移効率を改善する余地が残されている可能性も浮上してきた。また遺伝学的スクリーニングに用いる細胞株として、Cas9を恒常的に発現するクローン株を単離するとともに、L1 ORF2蛋白質複合体の質量分析解析は一通り実施し、Alu制御因子の候補を取得した。遺伝学的スクリーニングには到達していないものの、Alu制御因子の同定に向けて着実に進展している。今後既に得られた質量分析によるL1 ORF2蛋白質複合体の解析結果に加え、改良したAlu-EGFPレポーターを用いてその制御因子を探索するためのスクリーニングに取り組む予定である。
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