研究課題/領域番号 |
21K19240
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
柏山 祐一郎 福井工業大学, 環境学部, 教授 (00611782)
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研究分担者 |
藤原 崇之 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 助教 (10595151)
中澤 昌美 大阪公立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (90343417)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | CRISPR/Cas9ゲノム編集 / 非モデル生物 / 難培養性 / ラパザ / 盗葉緑体現象 / 難培養性微生物 / ゲノム編集 / 従属栄養性プロティスト / ユーグレノイド / 原生生物 / 混合栄養 / プロティスト |
研究開始時の研究の概要 |
真核生物の多様性の大半を占める原生生物は基本的に培養が容易ではない。そこで,培養効率が低い原生生物を対象に,ゲノム編集により細胞膜輸送体を導入して,培地中から吸収した糖やアミノ酸などの溶存有機物を利用した効率的な培養を可能にする。原生生物が本来は有さない吸収栄養の能力を付与することにより有機培地を用いて効率的に細胞を増殖させ,本来の生理条件に戻して様々な実験をおこなう,という前代未聞の画期的な研究スキームの確立に挑戦する。「培養効率を上げる遺伝子操作」により,培養が容易でない未開拓の生物を実験生物化する方法論を提示し,従来のモデル生物では研究できなかった生命現象の研究を可能にする。
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研究成果の概要 |
本研究では,培養効率が低い原生生物を対象に,最終的に細胞膜輸送体を導入して培地中から吸収した糖やアミノ酸などの溶存有機物を利用した効率的な培養を実現するため,まずこれら非モデル生物の形質転換系の確立と応用を目指した。本期間には,特に食作用混合栄養性(盗葉緑体性)のRapaza viridis(ラパザ)を対象に,CRISPR/Cas9遺伝子ノックインを目指した実験系の整備を進め,高効率(~60%)のゲノム編集を実現し,ノックアウト実験やエピトープタグの導入実験に成功した。また,細胞膜に発現しているラパザの輸送体タンパクを特定し,これと融合させたタンパク質遺伝子の導入のための検証実験を進めた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人類が有する真核細胞の知識の大半は,自然界の広範な多様性の中のごく一部の「培養しやすい」モデル生物の研究に基づいている。よって多様な真核生物(細胞)の大半が実験室での培養が困難である事実を考えれば,我々の知識はむしろ非常に特殊な生物からの偏った情報に依存している可能性さえある。我々は,近年確立されたゲノム編集技術はこれら「人類の知らない細胞」の研究に革命をもたらすポテンシャルを有していると考えた。本研究は,ラパザという,これまで実験細胞として見向きもされず,その「盗葉緑体現象」という「常識」からすれば奇妙奇天烈な細胞生理を示す生物のゲノム編集実験系を確立し,新しい真核細胞研究をスタートさせた。
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