研究課題/領域番号 |
21K19241
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
増井 修 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (30579305)
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研究分担者 |
加藤 雅紀 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (10625437)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | Xist RNA / エピジェネティクス / 遺伝子転写制御 / Non-coding RNA / RADICL-seq / Live-cell imaging / Xist / PRC1 / Degron / non-coding RNA / Polycomb |
研究開始時の研究の概要 |
予備実験の結果から、ポリコーム複合体PRC1を介してncRNAがクロマチンに繋留されることが示唆されており、本研究でその実証を試みる。まず野生型とPRC1欠失細胞を用いてRADICL-seqを実施し、PRC1依存的にクロマチンに結合するncRNA分子群の網羅的同定を行う。それらのncRNA分子に対して、RNA分子の細胞内での局在を可視化するRNA FISH法を用いることで、PRC1欠損時にそれらがどのように細胞内での局在を変化させるかを明らかにする。また、PRC1の各サブユニットやPRC1の下流に存在する分子を欠損させた細胞をRNA FISH解析することで、詳細なメカニズムの解明を行う。
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研究成果の概要 |
RNA-DNA結合を網羅的に同定するRADICL-seqを用いて解析を行ったところ、PRC1欠損細胞では50%のXist RNAがXから常染色体に移行することが明らかになった。この時同様の挙動を示すnon-coding RNAを複数同定した。 Xist RNAを生細胞で可視化できる細胞において、Time-lapse解析(1 min x5)を行なったところ、PRC1欠損下で細胞核内に分散したXist RNAは殆ど動かないことが分かった。 これらの結果から、Xist RNAはPRC1により不活性Xに結合し、PRC1が存在しない場合はX染色体への特異性を失うが、クロマチンに留まる能力を持つと結論された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Xist RNA などのnon-coding RNAは、標的遺伝子の転写を調節して生物個体の恒常性の維持に関わり、その破綻は疾患の原因となることが知られている。従ってnon-coding RNA の作用するメカニズムを解明することは、遺伝子転写調節機構を明らかにするだけでなく、疾患の予防や治療方法の分子基盤をもたらすと期待できる。本研究では転写抑制に関わるポリコーム複合体PRC1がXist RNAなどのnon-coding RNAをクロマチンに繋留することを明らかにした。今後さらに解析を進めて、その詳細な分子メカニズムの解明を行うことを目指す。
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