研究課題/領域番号 |
21K19244
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上原 亮太 北海道大学, 先端生命科学研究院, 准教授 (20580020)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 倍数性 / 中心体 / 一倍体 / ゲノム不安定性 / 細胞分裂 / 人工遺伝子回路 / 合成生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
動物の一倍体細胞は次世代型生命工学の発展の鍵となる技術であるが、その著しいゲノム不安定性が汎用性の妨げとなる。申請者は最近、一倍体特異的に起こる慢性的な中心体複製遅延が、ゲノム不安定性の原因であることを突き止めた。本研究では、中心体複製の遅延を検知するセンサと、複製遅延が修正されるまで細胞周期進行を一時停止させるアクチュエータを組み込んだ人工遺伝子回路を創出することで、天然に存在しない「中心体複製チェックポイント機構」を構築する。これにより、慢性的な中心体複製不全を自己修正してゲノム安定性を保持する一倍体細胞の樹立を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では中心体喪失による動物一倍体細胞のゲノム不安定性をi)中心体複製不全を解消する新しい分子回路の設計と、ii)中心体不在のまま安定な分裂増殖が可能な遺伝的背景の構築の二つのアプローチにより、一倍体状態を安定化することを試みた。iについては人工回路構成遺伝子の構造の検討、最適化を行い、内性の中心体制御系との干渉を最小化した人工遺伝子の作出に至っており、今後、その機能評価を進める。iiについては、中心体非存在下に分裂制御に関わる遺伝子制御系構成因子の、一倍体状態特有の量的不足を突き止め、その人為的補強によって、中心体喪失下で1か月以上一倍体状態を保持できる安定な細胞株の樹立に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
全遺伝子を1コピー保有する一倍体細胞は、遺伝子機能改変が容易で、遺伝学や細胞工学ツールとして高い利便性をもつ。しかし、動物一倍体は著しいゲノム不安定性で短期間に二倍体化することが汎用性の妨げている。本研究では、二つの独立したアプローチのうちの1つにより高い安定性をもつ一倍体ヒト細胞の樹立に成功した。この過程で、一倍体不安定性の原因となる具体的な遺伝子群を特定した点に高い学術的意義がある。また、本研究で確立した一倍体安定化法は、多くの動物種の一倍体制御に適用可能と考えられ、安定一倍体技術の発達を通して、生命工学および農水産資源開発の分野に波及性が期待できる点に社会的意義がある。
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