研究課題/領域番号 |
21K19258
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鹿内 利治 京都大学, 理学研究科, 教授 (70273852)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 光合成 / 葉緑体 / KEA3 / Flavidiironタンパク質 / シトクロムb6f複合体 / 変動光 / 気孔 / 光化学系Ⅰ / 電子伝達 / ATP合成酵素 / プロトン駆動力 / サイクリック電子伝達 / Flv / Flavodiiron タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
野外のように強度が変動する光は、光化学系Ⅰの光傷害を引き起こし、光合成の効率を下げる。被子植物は、光化学系Ⅰに流れる電子伝達に、上流のシトクロムb6f複合体でブレーキをかける戦略を選択し、裸子植物まで保存されている、過剰電子の安全弁(Flv)を失っている。本研究では、シロイヌナズナ で、シトクロムb6f複合体のブレーキを軽減し、ヒメツリガネゴケ由来のFlvを導入することで、被子植物が選ばなかった光合成電子伝達制御を行う植物を作成する。この植物の変動光における光合成を解析することで、被子植物が現在の制御系を選んだ理由を明らかにする。
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研究成果の概要 |
変動する光環境下では、チラコイドルーメンの酸性化をモニターし、シトクロムb6f複合体の活性を抑制することで光化学系Ⅰへの電子伝達を減速させる。被子植物は、光化学系Ⅰの受容体側の電子の安全弁(Flv)を失っており、このブレーキの重要性が増大している。被子植物に失ったFlvを戻すと、ブレーキの軽減が許容されるか?それは、光合成の効率を上昇させるか?この疑問に答えるため、FlvとKEA3oxの二つの組換え遺伝子をシロイヌナズナで共存させた。FlvはKEA3ox背景で光化学系Ⅰの光傷害を軽減した。それに加えて、Flvが変動光下で気孔の開度を上昇させることで、光合成と植物の生育を促進させた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光化学系Ⅰを光傷害から守るには、上流での電子伝達抑制(photosynthetic control)とFlvによる下流からの電子の吸い出しが有効である。被子植物はFlvを失い、上流での制御に依存する戦略を選んだ。本研究は、シロイヌナズナにFlvを導入し、上流のブレーキを軽減することで、光化学系Ⅰの光傷害を防ぎながら光合成の効率を上げられるかを調べた挑戦的なものである。当初の予想を超え、Flvが変動光下で、気孔の開度を上げることで、CO2固定速度と植物の生育を上昇させることを明らかにした。電子伝達と気孔の開閉のリンクの未知の部分に光を当てる、学術、応用の両面で意義ある研究である
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