研究課題/領域番号 |
21K19265
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
松井 貴輝 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (60403333)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 器官サイズ / 器官機能 / ゼブラフィッシュ / 左右差 |
研究開始時の研究の概要 |
多細胞生物の器官サイズは細胞数と細胞サイズの総和で決まる。しかし、遺伝的異常、生理的・外因的撹乱によって細胞の数が減少した場合、残存する細胞が肥大化することで器官サイズを通常時と変わらないように維持するサイズ補償作用が存在することが知られている。しかし最近研究代表者は、ゼブラフィッシュの内臓の左右非対称な配置を規定する器官(クッペル胞)において、サイズ補償は起こらず、むしろ、器官サイズの違いを許容し、機能を補償する新たな生理現象の存在を発見した。本研究では、遺伝学的な解析、レーザー光学的解析、および数理解析を組み合わせた融合研究を展開し、クッペル胞の機能補償作用の仕組みの理解を目指す。
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研究実績の概要 |
クッペル胞における機能補償は、1-1)細胞の浸透圧や水輸送に関与する分子が活性化され内腔が膨らむ。1-2)シリアが回転することで内腔に水流が発生する。2-1)水量が増えることで膨圧が細胞にかかる。2-2)水流によってシェアストレス発生する。3-1)膨圧で生じた力がメカノチャネルによって受容され、シグナルが活性化する。3-2)シェアストレスがメカノチャネルによって受容され、シグナルが活性化する。4)2つの反応の片方、または、両方により、水輸送、シリア回転速度が変化することで、適切な内腔サイズと水流速度に近づける。5)水流が弱くなりすぎたり、内腔が小さくなりすぎた場合は、再び、1が活性化され、サイズの違いを許容しつつ一定速度のノード流が発生するようになると考えている。これまでに、力感受カルシウムチャネルTRPC1および、シリアの回転速度に影響を与えるアセチル基転移酵素ATAT1の関与が推察されたので、昨年度、CRISPR/CAS9システムを用いて、クッペル胞で発現するTRPC1、および、ATAT1ノックアウト(KO)を行なった。その結果、TRPC1、および、ATAT1の両方の遺伝子に対してフレームシフトにより完全長のアミノ酸が形成されない変異体(F1世代ヘテロ変異体)を作製することに成功した。今年度、これらのヘテロ変異体同士を交配したところ、TRPC1の胚性KO個体では、心臓が直線状になるという左右差異常の表現型の一部が観察されたが、ATAT1の胚性KO個体では、心臓は体の左側に形成されていたため、左右差異常は認められないという結果であった。ATAT1に関しては母性因子として発現することが分かったため、ATAT1の胚性KO個体には母性因子由来のATAT1が存在していたことになるので、ATAT1の関与を解析するためには母性・胚性KO個体の作出が不可欠であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定より時間がかかったが、TRPC1、ATAT1の2つの候補遺伝子に対する変異体株が作製できたので研究を加速させるべく、表現型解析を行った。しかし、予想に反し、候補遺伝子の欠損胚であっても軽微な左右差異常に留まった。そのためその原因を解明するための付加的な実験を実施しなければならない状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
ATAT1の母性・胚性KO個体を取得し、左右差異常があるかを観察する。得られた母性・胚性KO個体で、左右差異常があれば、クッペル胞の内腔の大きさ(水量)、細胞数、水流、シリアの回転、機能(心臓や内臓の配置)を調べることで、候補遺伝子が機能補償作用の堅牢さに影響するかについて解析する。また、TRPC1、ATAT1変異体が通常発生するときだけでなく、フェムト秒レーザーを用いた非熱的な細胞アブレーションによって細胞数を減少させたとき、一連のパラメーターがどのように変化するかを解析することで、候補遺伝子が機能補償作用の堅牢さに影響するかについても解析する。これらの通常発生胚、および、クッペル胞細胞減少胚から得られた定量データをもとに数理モデルを構築し、機能補償のしくみの理解を目指す。
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