研究課題/領域番号 |
21K19285
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
横山 潤 山形大学, 理学部, 教授 (80272011)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 植物 / 種子 / 内生微生物 / 送粉昆虫 / 感染経路 / 垂直感染 / 水平感染 / 繁殖様式 / 生態的役割 |
研究開始時の研究の概要 |
植物の内生微生物は、共生生物として重要である。種子にも微生物が存在し、これらの微生物が野生植物の生存などに関わるかもしれないが、そのような研究は少ない。種子に感染する微生物は、親個体由来の他、送粉昆虫による感染が予測されるが、この可能性は検証されていない。送粉動物が微生物を種子に感染させているなら、送粉昆虫の役割に関する重要な発見となる。本研究では、開放花と閉鎖花を持つ一年生植物を対象として、種子に感染する微生物を調べ、それらの影響を検討し、種子に感染する新たな微生物をリクルートする仕組みとして、送粉動物の役割を検証する。
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研究実績の概要 |
植物には内生微生物が多数存在し、植物の成長促進やストレス耐性付与に関わる共生生物として重要である。種子にも微生物が存在しており、作物では成長促進、病害抵抗性などの観点から研究されているが、野生植物における研究例は少ない。これらの微生物が野生植物の生存率や適応度の変化に関わるとすると、種子の微生物相の調査が必要になる。種子に感染する微生物は、親個体からの垂直感染の他、送粉昆虫による水平感染が予測されるが、この可能性は検証されていない。送粉動物が生存率や適応度の変化に関わる微生物を種子に感染させているなら、送粉昆虫の植物の生殖に果たす役割の考え方に新しい軸を加える重要な発見となる。そこで本研究では、開放花と閉鎖花の別のある一年生植物を研究対象として、野生植物における種子感染性微生物相を調査し、それらの適応度への影響を検討するとともに、野生植物の種子に感染する新たな微生物をリクルートする仕組みとして、送粉動物を介した花からの感染経路を検証する。 本年度は、対象植物であるコナギとヤハズソウについて、種子からの培養可能微生物(バクテリア・真菌類)の単離・分子同定を継続し、Rahnella, Pseudomonasの一部の種のような、植物の成育に正の影響を与える可能性のある微生物が単離された。送粉昆虫の追加採取時期が遅かったこともあって、送粉昆虫から単離した培養株にはまだ未同定のものが残っている。メタゲノム解析のデータからは、Janthinobacteriumなど単離株の同定結果から得られなかった菌も多く同定された。いずれの植物も効率の良い発芽条件の検討を行い、種子からの育成と感染実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度実施を予定していた、種子からの培養可能な内生微生物の同定については概ね完了したが、送粉昆虫からの単離微生物の同定、特にヤハズソウのものについての解析が遅れている。メタゲノム解析の結果から得られた微生物には単離法から得られていないものも含まれているが、必ずしも培養困難なものではないことから、現在それらをターゲットとした単離を追加で実施しており、この点でも遅れが生じている。一方、開放花と閉鎖花を区別した野生個体からの種子の回収法は確定した。これらを用いた栽培実験も、種子発芽条件の検討を中心に開始し、発芽した植物の育成と感染実験を始めることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、送粉昆虫から得られた微生物と、メタゲノム解析で得られたが単離法で得られていなかった微生物の同定を優先的に進める。この結果から、まず送粉昆虫から種子への感染の可能性を確定する。また、植物の育成を継続して、感染実験を実施し、単離された微生物が花から感染することがあるのか否かを確定する。
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