研究課題/領域番号 |
21K19293
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
前川 清人 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (20345557)
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研究分担者 |
宮崎 智史 玉川大学, 農学部, 教授 (20547781)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 社会性昆虫 / シロアリ / 生殖カースト / 性決定遺伝子 / doublesex |
研究開始時の研究の概要 |
真社会性動物のシロアリの生殖虫は極めて長命である。雌生殖虫は補充生殖虫に入れ替わる種も多いが,雄成虫は基本的に入れ替わらず,同一個体が繁殖活動に従事し続ける。我々は,シロアリの性決定経路の最下流の転写因子(dsx)が,雄個体でのみ発現する単一エクソン遺伝子であることを見出した。この発見を手掛かりに,dsxの下流で長命化遺伝子ネットワークが働き,雄成虫の長寿命化と高い繁殖能力がもたらされるとの仮説の実証を試みる。ゲノム解読済の複数種を対象に,dsxのRNAiによる寿命への影響を確かめ,RNA-seqとChiP-seqでターゲットを絞り込み,シロアリ特有の遺伝子ネットワークの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度から引き続き,ゲノムが明らかになっているヤマトシロアリと他3種(ヤマトシロアリと同属別種のR. lucifugus,同科のイエシロアリCoptotermes formosanus,別科のナタールオオキノコシロアリMacrotermes natalensis)のdoublesex(Dsx)の同定と,標的となる下流遺伝子を探索した。モチーフ検索ツールHOMER v4.11を用い,転写開始点の上流3kbにおけるDsxの結合領域を網羅的に調べた。その結果,ヤマトシロアリとR. lucifugusでは,Dsxの標的となる候補遺伝子の多くが共通していた。しかし,系統的に異なる他2種とヤマトシロアリでは,共通する候補遺伝子はほぼ見つからなかった。つまりDsxの下流は,当初の予想よりも多様化している可能性が高いことが明らかになった。但し,ヤマトシロアリとR. lucifugusで共通して見つかった候補遺伝子には,他の動物で精子形成や寿命調節に働くことが知られる遺伝子が含まれていた。これらの遺伝子は,ヤマトシロアリにおけるDsxのRNAiによる発現解析の結果,Dsxの標的であることが示唆された。ヤマトシロアリとR. lucifugusは,両種とも雌生殖虫は単為生殖能をもち,雄生殖虫の寿命は長いと考えられる。従って,これらの遺伝子がDsxの下流で働く長命化遺伝子ネットワークを構成する可能性はある。以上の結果は,関連する複数の学会と学術論文で発表した。更に本年度は,上記以外の種のトランスクリプトームデータを新規に取得または再解析し,シロアリ全体でDsxの特徴が保存されているのかを調べた。その結果,Dsxの遺伝的な構造や発現パターンは科レベルで大きく異なることが明らかになった。これらのDsxの多様性が如何なる意味を持つのかは,シロアリの生物学における今後の重要な課題になると考えられる。
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