研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、淡水の主要な1次消費者であるミジンコをモデルとして、動物個体に流入するエネルギーの分配を決定する分子メカニズムを解明する。代表者らは最近、ミジンコにおいてde novo DNAメチル化酵素3.1(DNMT3.1)が飢餓時に稀少な細胞で発現し、エネルギー分配のマスター調節因子として働くことを発見した。そこで、本研究ではDNMT3.1発現細胞をエネルギー分配の中枢細胞と定義し、本細胞でDNMT3.1に制御される遺伝子ネットワークを解明する。
ミジンコにおけるエネルギー分配の分子メカニズムを明らかにするために、成長、繁殖、寿命などの生活史形質を制御する因子の探索を行った。他の生物種で生活史形質を制御している遺伝子のオーソログを複数選定した。標的遺伝子に変異を導入するために、各遺伝子に特異的な gRNA を設計し、それぞれをCas9 タンパク質とともに卵に注入した。生存した個体から、両アレル、片側のアレルにのみ変異を有する個体をゲノムPCRによって同定し、各遺伝子の変異系統を作出した。続いて、作出した遺伝子系統と野生型の成長、繁殖、寿命等の生活史形質を比較したところ、これまで見出していた DNMT3.1遺伝子の変異体とは異なる表現型を示し、解析した遺伝子はミジンコにおける新たなエネルギー分配の制御因子であることが明らかとなった。さらに、表現型に変化が見られた発生ステージにおける遺伝子発現パターンを RNA-Seq 解析により網羅的に調べ、変異を導入した遺伝子によって制御される遺伝子ネットワークを見出すことに成功した。今後、DNMT3.1遺伝子が制御するネットワークとのクロストークを明らかにすることで、エネルギー分配の理解が一層深まると期待される。一方で、本研究でも試みてきたエネルギー分配の制御因子の発現を蛍光タンパク質遺伝子のノックインによってライブイメージングにより可視化し、エネルギー分配を司る責任細胞を同定し、細胞レベルでの遺伝子発現解析にアプローチするための基盤が整った。
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