研究課題/領域番号 |
21K19299
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
田村 浩一郎 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (00254144)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ネオ性染色体 / 染色体融合 / 進化確率法 / 自然選択 / 実験進化 / 病原変異予想 / 集団ゲノム解析 / 集団ゲノム / 適応 / 性染色体不分離 / 進化確率 / 減数分裂組換え / 適応進化 |
研究開始時の研究の概要 |
アカショウジョウバエのネオ性染色体は性染色体と常染色体が融合してできた染色体であるが、融合後急速に集団中に広がったことから何らかの適応的利点が予想される。本研究では、そのような染色体の構造レベルの進化的変化に対する自然選択の影響を検証する。そのため、新たな進化確率計算法を開発してアカショウジョウバエのゲノム全領域に渡って進化過程での自然選択の影響を検証する。また、姉妹種で染色体が融合していないテングショウジョウバエを利用し、ネオ性染色体と融合前の常染色体と性染色体を合わせ持つ祖先集団を模倣した実験集団を構築して継代飼育し、世代とともにネオ性染色体の頻度が高まるかどうか実験的に検証する。
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研究成果の概要 |
真核生物の染色体数は進化過程で変化し、近縁種間や種内で差異が生じる。このような染色体レベルの進化的変化の適応的意義を明らかにするため、(1)ゲノムの全領域を対象に塩基座単位で自然選択を検出することが可能な進化確率法を、分子系統樹がなくても適用可能な方法に改良し、(2)性染色体と常染色体が融合してできたネオ性染色体をもつアカショウジョウバエを用い、実験進化学的方法によって集団中でネオ性染色体が頻度を拡大し固定した進化過程の再現を試みた。その結果、進化確率法は、精度、計算時間の両面で従来よりも優れた方法に改良することができたが、実験集団を用いてネオ性染色体の進化過程を再現することは成功しなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
染色体数の適応的意義はゲノム進化を理解する上で基本的な問いであるが、未だよく分かっていない。その理由として、遺伝子領域のみならずゲノムワイドに自然選択を検出する方法が確立していないことが上げられる。本研究で用いた進化確率法はゲノムの全ての塩基座を対象にすることが可能であるが、推定精度が使用する系統樹に強く依存するため、信頼性が限られる。本研究では、系統樹の代わりに配列間距離の共分散行列を使うことで進化確率法を改良した。その結果、推定精度、計算速度の両面で従来の方法を上回ることに成功した。この方法を適用することでゲノムにはたらく多様な自然選択が検出可能となり、疾病関連座位の予測にも利用できる。
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