研究課題/領域番号 |
21K19300
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
山田 敏弘 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70392537)
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研究分担者 |
LEGRAND Julien 静岡大学, 理学部, 助教 (60737534)
中村 英人 北海道大学, 理学研究院, 助教 (00785123)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ゲノム重複 / 花粉 / K/Pg境界 / ゲノムサイズ / 白亜紀 / 古第三紀 / ゲノム倍化 / 花粉化石 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,全ゲノムを用いた分子進化解析から,白亜紀末の隕石衝突が全ゲノム重複を引き起こした可能性が指摘された。ところが,全ゲノム重複を化石から実証する方法は確立していない。本研究では,人工的にゲノムを倍化する実験を行い,花粉サイズとゲノムサイズとの間に正の相関があることを示す。そして,その結果を白亜紀末~古第三紀初頭の花粉記録に応用し,この時期に花粉サイズの増加,すなわちゲノムサイズの増加が起きたことを実証する。本研究は,白亜紀末の隕石衝突という地球史上最悪の事態を題材に,全ゲノム重複を化石から実証する。本研究の結果,ゲノム進化と地球史が連結され,新たなゲノム研究が展開されるだろう。
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研究実績の概要 |
本研究では「白亜紀末の大量絶滅イベント前後に植物ではゲノム重複が起きた」とする仮説を、花粉化石から実証することを目指す。そのために、令和4年度は以下の作業を行った。
1)現生被子植物における花粉サイズとゲノムサイズとの比較:大阪公立大学附属植物園などで採集した35科44属52種の木本被子植物について、花粉サイズを測定した。また、それらの種のうち、7科9属12種についてDNAフローサイトメトリーによりゲノムサイズを測定した。データが得られたものについて両者の相関を解析した結果、被子植物全体では有意な相関関係は見出せなかった。これは、サンプル数がが少ないこと、被子植物では送粉様式が花粉サイズに影響すること、などの原因によるのであろう。一方、ブナ科内など、近縁分類群間で比較すると、両者に相関が見られた。従って、花粉化石においてサイズ変化を調査する際には、属以下のレベルを対象とする必要があると考えられる。今年度は次年度以降の解析に備え、DNAフローサイトメトリー用サンプルの保存方法や解析方法についての条件検討も行った。その結果、超低温でサンプルの保存が3ヶ月程度は可能であること、破砕サンプルを低速遠心し狭雑物を除去することでゲノム推定精度が上昇すること、などを確認した。 2)花粉化石を用いたサイズ変化の解析:北海道に分布する白亜系蝦夷層群で地質調査と花粉化石抽出用サンプルの採集を行った。その結果、複数のルートで連続的に花粉化石が産出することを確認した。また白亜系-古第三系根室層群において、地権者や管理者との調査交渉を行うとともに、現地の予備的地質調査を行った。浜中地域では一部の岩石に変成が見られるものの、変成が弱いルートが多くあることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フローサイトメーターによる解析では、野生植物のサンプル調整条件が定まらず、安定したゲノム推定値を得るまでに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
実績概要に記した様に、既にサンプル調整条件を決定できた。またサンプル保存条件も確定できたため、植物が葉を落とす冬季にもフローサイトメトリー解析を進められる。
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