研究課題/領域番号 |
21K19301
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
陀安 一郎 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80353449)
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研究分担者 |
由水 千景 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 上級研究員 (50609394)
山口 保彦 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 主任研究員 (50726221)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 同位体分析 / アミノ酸 / 食物網 / 微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
「食物網解析」は、食う-食われる関係を明らかにすることで、生物のつながりを解析する手法である。近年、グルタミン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸の窒素同位体比を用いて栄養段階の解析を行う方法が開発され、広く使われるようになってきた。本研究においては、これら2種類のアミノ酸に限らない「アミノ酸多分子同位体指標」を開発することで、生態系の重要な構成要素でありながら、食物網解析において検出が難しかった「微生物」の位置づけと、食物網における寄与度を明らかにすることを目標として研究を進める。
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研究実績の概要 |
本年度は研究の3年目になるが、多分子のアミノ酸窒素同位体比を効率的かつ包括的に測定するための手法の組み合わせを、引き続き検討した。 地球研においては、測定値の妥当性検討のため、ガスクロマトグラフ-同位体比質量分析計(GC-C-IRMS)分析、分取アミノ酸のGC-C-IRMS分析、分取アミノ酸の元素分析計-同位体比質量分析計(EA-IRMS)分析の比較検討を継続した。特に、GCカラムの特性に応じたアミノ酸種にわけて分析する手法について検討を行った。天然試料としては、陸上生態系における菌根ネットワークによる複雑な食物網を定量的に解析する手法開発の題材とし、バルク同位体比の分析からある程度の仮説が立てられる菌従属栄養植物試料の分析準備を行った。 琵環研では前年に引き続き、高速液体クロマトグラフ-荷電化粒子検出器(HPLC-CAD)と分取コレクターを用いたアミノ酸分子別分取精製の手法を検討した。高速液体クロマトグラフ-蛍光検出器(HPLC-FLD)を用いたアミノ酸の濃度・組成の迅速分析手法についても、前処理工程や誘導体化条件について検討して改良を進め、微量試料での測定ができる見込みとなった。微生物由来食物網の寄与が期待できる天然試料として、水域では、細菌細胞サイズのPOM画分を採取する手法を、琵琶湖湖水を用いて検討した。2種類の孔経のフィルター(ガラス繊維およびPTFE)を用いた多段濾過で、水中浮遊性細菌細胞の60~70%程度を回収できる見込みとなった。成層期琵琶湖の表水層および深水層において、細菌細胞サイズPOM画分のバルク窒素同位体比を予備的に測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者のその他の業務の多忙、研究分担者の育児に伴う勤務制限などにより当初計画の遅延が生じた。これについては、現在は業務状況に改善がみられ、次年度の研究で補完できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
GC-C-IRMS分析におけるGCカラムの使い分けを主な手法として採用し、微生物純粋培養実験試料および水域・陸域の天然試料について、特定のアミノ酸(スレオニン、メチオニン等)について窒素同位体比のデータを得る。従来手法で分析できる種類のアミノ酸(グルタミン酸、フェニルアラニン等)のデータとも比較し、微生物由来食物網検出手法として、また栄養様式の複雑な陸域生態系における栄養段階解析手法としての有用性を評価する。さらに、微生物の代謝経路分布の情報等から、微生物バイオマスのアミノ酸窒素同位体比パターンを制御するメカニズムを考察する。
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