研究課題/領域番号 |
21K19313
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
須山 成朝 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80528414)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 神経ペプチド / シナプス可塑性 / 視床下部 / 摂食・エネルギー代謝 / AgRPニューロン / AgRP ニューロン / シナプス形成 / エネルギー代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
Cbln4はシナプス前部から分泌されるNeurexin, シナプス後部に局在するデルタ型グルタミン酸受容体と三者複合体を形成し、興奮性及び抑制性シナプスの形成・維持を行うシナプス形成分子である。申請者は予備検討により、摂食亢進の中核を担う視床下部弓状核Agouti-related peptide (AgRP) 産生ニューロンの軸索終末にCbln4が局在し、神経ペプチドAgRPの分泌制御にかかわることを示唆する結果を得た。そこでCbln4による神経ペプチドの拡散性伝達の機能的・形態的な調節機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
C1q ファミリーに属するCbln4はシナプス前部から分泌されるNeurexin, シナプス後部に局在するデルタ型グルタミン酸受容体と三者複合体を形成し、興奮性及び抑制性シナプスの 形成・維持を行うシナプス形成分子である。 神経ペプチドAgouti-related peptide (AgRP) は摂食亢進の中核を担う視床下部弓状核に局在するAgRP産生ニューロンから分泌され満腹中枢のmelanocortin受容体を抑制することで摂食亢進に働くことが知られている。 申請者は予備検討により、AgRPニューロンの軸索終末にCbln4が局在し、シナプス形成ではなく、神経ペプチドAgRPの分泌制御にかかわることを示唆する結果を得た。そこでAgRPニューロン軸索のCbln4は、神経活動や空腹状態に応じて量が変化し、AgRP分泌部位形成・維持を制御する、拡散性伝達調節分子として働くとの作業仮説を立て、神経ペプチド拡散性伝達の機能的・形態的な調節機構を解明することを目的とする 。所属研究室はCbln4を含むC1qファミリー分子を第3のシナプス形成分子、細胞外足場タ ンパク質として確立した。この概念を非シナプス性の拡散性伝達に拡張し、細胞外構造と の相互作用による新しい神経ペプチド分泌制御を確立する。この研究により得られる知見 は同じく拡散性伝達を行うモノアミン系神経伝達物質、ホルモン分泌機序の理解に大きな 貢献が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HAタグを付加したHA-Cbln4ノックインマウスを作製し、Cbln4のAgRPニューロン活動依存的な軸索内局在を観察した。先行していた免疫組織染色によるCbln4の同定と同様にAgRPニューロンの活動が高まるとCbln4の軸索内発現が減少し、細胞内AgRPの減少、シナプス形成を認めた。しかし、予想に反し、Cbln4の局在はAgRPニューロンとその標的神経の間には観察されず、グリア細胞の関与が予想される。 この検証に時間がかかっており、進捗としてはやや遅れが生じている。 また、この間に家族全員のCovid-19罹患があり、実験を一時的に停止せざるをえず、遅れの一因になった。
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今後の研究の推進方策 |
Cbln4が接着する細胞外構造がグリア細胞由来である可能性が浮上したため、ウィルスベクターを介したグリア細胞の可視化により明らかにし、細胞間接着部位を可視化するGRAPHIC法により示す。 絶食負荷、optogeneticsなどを用いてAgRPニューロン活動を制御し、この接着構造が活動依存的に変化するかどうかを検証する。 グリア細胞との接着と神経伝達、AgRP分泌の関連を明らかにする。
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