研究課題/領域番号 |
21K19315
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
山下 貴之 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40466321)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 体性感覚 / マウス / 社会性行動 / 大脳皮質 / 高次機能 / 洞毛 / バレル皮質 |
研究開始時の研究の概要 |
高等動物では、視覚や聴覚といった感覚は大脳皮質の一次感覚野に入力され、その後二次、三次とより高次の感覚野において階層的に処理されることはよく知られている。ところが、体性感覚については一次体性感覚野(S1)のすぐ外側に二次体性感覚野(S2)があるのみで、高次情報処理機構についての研究は遅れている。山下(研究代表)らは、以前の研究でS2以外にS1軸索末端が集積する多くの小領域があることを発見している。本研究では、これらの各小領域における体性感覚情報表現および生理機能を網羅的に解析し、新規な高次体性感覚野の発見につなげる。
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研究成果の概要 |
大脳皮質における体性感覚の階層的情報処理の機構には不明な点が多い。本研究ではマウスを用いて一次体性感覚野から投射を受ける異顆粒帯での情報処理機構を調べた。その結果、異顆粒帯ではマウスの接近(社会性接近刺激)とマウス型ぬいぐるみの接近(非社会性接近刺激)に反応するニューロンが発見され、さらには、異顆粒帯の小領域ごとに両者の刺激を区別するニューロンの割合が異なることも明らかになった。ただし、これらの反応は触覚刺激以外の要因も関与しており、異顆粒帯は高次体性感覚野というよりは社会性に関する高次認知領野である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、一次体性感覚野洞毛領域からの投射を受ける異顆粒帯において、特定の社会行動をエンコードするニューロンを発見した。これにより、感覚処理と社会行動が神経レベルでどのように統合されているかに関する新たな知見を提供した。特に、異顆粒帯内の亜領域において社会性行動の表現が異なるという発見は、今後の研究に重要な情報となるであろう。本研究成果は、将来的には自閉スペクトラム障害などの社会的障害の神経メカニズムの解明に寄与し、新たな診断ツールや治療戦略の開発に役立つ可能性がある。
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