研究課題/領域番号 |
21K19325
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松沢 厚 東北大学, 薬学研究科, 教授 (80345256)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | フェロトーシス / GPX4 / 翻訳後修飾 / 脂質酸化 / プログラム細胞死 |
研究開始時の研究の概要 |
フェロトーシスは、生体膜脂質の鉄依存的酸化で誘導され、癌抑制効果や循環器疾患発症との関連性から、最近注目されている新たな細胞死である。その重要な制御分子である脂質酸化消去酵素GPX4は細胞死抑制に働く。しかし、実験的なフェロトーシス誘導は薬剤やGPX4欠損等の人工的刺激のみであり、内因性因子による生理的刺激が存在せず、その生体での必要性や生理機能、病理的な役割は不明である。その要因は、GPX4の発現・活性制御機構が不明な点にある。そこで本研究では、独自に同定した内因性フェロトーシス誘導因子によるGPX4の新たな発現・活性制御機構の解析から、その生物学的意義と病態生理学的役割の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、独自に同定した内因性因子やキナーゼ分子によるGPX4の新たな発現・活性制御機構について、そのフェロトーシス制御での役割の解明を目指した。ストレス応答キナーゼ分子XによるGPX4のリン酸化部位の同定に成功した。GPX4リン酸化部位のリン酸化ミミック変異体では、酵素活性が著しく減少しており、Xがストレス刺激依存的にGPX4をリン酸化することで、その酵素活性を抑制し、フェロトーシスを促進することが示唆された。 また、GPX4のタンパク発現維持に重要な血清中成分Yの同定に至った。実際に、Yの除去によりGPX4のタンパク発現が減少し、Yの添加によりその発現が上昇することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フェロトーシスは、生体膜脂質の鉄依存的酸化で誘導される新たな制御性の細胞死で、神経変性疾患や虚血性疾患などの様々な病態増悪との関連から、新規創薬ターゲットとして、近年世界的に注目されている。脂質酸化消去酵素GPX4は、酸化脂質の除去によってフェロトーシス抑制に働く最も重要な制御分子であるが、GPX4の発現・活性制御機構については不明な点が多く残されている。本研究により、GPX4のリン酸化修飾とその責任キナーゼ分子X、発現・活性の制御において重要な役割を担う内因性因子Y同定することができ、関連疾患の発症機序の解明に繋がる、重要な基礎的知見が得られた。
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