研究課題/領域番号 |
21K19326
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山次 健三 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (30646807)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 触媒 / ヒストン / 生細胞内反応 / アシル化 / プローブ / 環境 |
研究開始時の研究の概要 |
生命はDNAやタンパク質などの生体分子とそれらに介在する化学反応から成る。その代表がタンパク質の翻訳後修飾であり、その多くは生物触媒である酵素によって導入される。しかし、生体に介入しうる化学反応は、酵素が触媒するものに限定される必要はない。 本研究では、遺伝子転写に密接に関与するヒストンタンパク質を対象に、本来生体にはない翻訳後修飾(アシル化)を我々が培ってきた化学触媒により導入し、細胞のエピゲノムを操作すること、そして、それによる細胞の応答を理解することを目標とする。
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研究実績の概要 |
生命はDNAやタンパク質などの生体分子とそれらに介在する化学反応から成る。その代表がタンパク質の翻訳後修飾(PTM)であり、それらの多くは酵素によって導入される。しかし、生体に介入しうる化学反応は、酵素が触媒するものに限定される必要はない。本研究では、遺伝子転写に関与するヒストンタンパク質を対象に、本来生体にはない翻訳後修飾、特にリジン残基のアシル化修飾を化学触媒により導入し、細胞のエピゲノムを操作すること、細胞の応答を理解することを目的とする。 前年度までに、モデルタンパク質を用いた検討において、ヒドロキサム酸とジオールからなる触媒、アシル基とフェニルボロン酸からなるアシルドナーをそれぞれ開発し、生細胞内で従来の100分の1の濃度で3倍以上のアシル化活性を示すタンパク質アシル化触媒系を開発できた。 本年度は、本触媒系を生細胞内のヒストンに適用し、かつ、白血病細胞選択的な触媒系へとさらに発展させた。その結果、人工触媒によるヒストンH2BK120のアシル化によって白血病細胞選択的なエピゲノム操作を達成し、これにより白血病細胞の増殖阻害を引き起こせることがわかった。さらに本検討と並行して、細胞内のアシルCoAを活性化してヒストンアシル化を行える新たな触媒を開発した。本触媒は細胞内に存在するアシルCoAの濃度を検知してヒストンアシル化を行うことが可能であり、有用なエピゲノムツールになることを示すことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
人工触媒による生細胞内アシル化を達成し、遺伝子転写の変化や細胞増殖率の変化など、細胞機能の変化を誘起することに成功しているため。
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今後の研究の推進方策 |
白血病細胞選択的なヒストンアシル化触媒系が誘起する細胞表現型について理解を深める。 細胞内アシルCoAを活性化可能な触媒の反応機構、特性などの化学的な理解を深める。 見出した触媒系を用いて細胞内ヒストンに機能性プローブを導入することで、ヒストンを舞台にした生物現象の分子的理解を深める有用なツールになることを示す。
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