研究課題/領域番号 |
21K19336
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堤 康央 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (50263306)
|
研究分担者 |
淺原 時泰 大阪大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (20632318)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | マイクロプラスチック / 安全性研究 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋環境に広がる1mmよりも小さなマイクロプラスチック微粒子(MP)の、ヒト健康被害が懸念され、そのリスク評価が喫緊のグローバル課題となっている。MPのリスク評価に必要なハザードや動態情報は、「大きさや表面形状、表面性状」といった存在様式の違いにより多様性に富んでおり、MPのリスクを理解するためには、存在様式を踏まえた解析が必要である。しかし、MPの定量的な動態解析手法は未だ標準化できていないうえ、存在様式を把握するための標準品すら無い。本研究は、環境中に放出されたMP を対象に、その存在様式と動態解析できる新規手法を先駆けて確立し、未踏であるMPのリスク評価への道を切り拓くものである。
|
研究実績の概要 |
国連総会にて採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」にもあるように、海洋環境に広がる1 mmよりも小さなマイクロプラスチック微粒子の、ヒト健康影響が懸念され、そのリスク評価が喫緊のグローバル課題となっている。プラスチック微粒子のヒト健康影響を考えた場合、そのリスクはMPのハザード(固有の生物活性・毒性)と動態(生成過程とその後の体内・細胞内挙動や曝露量、曝露時間)との積算によって決定付けられる。これらプラスチック微粒子のハザードや動態は、「プラスチック微粒子の大きさや表面形状、表面性状」といった存在様式(物性)の違いにより多様性に富んでおり、プラスチック微粒子のリスクを理解するためには、ハザード・動態と共に、存在様式をも併せて解析せねばならない。しかしながら、プラスチック微粒子の存在様式は多岐にわたり、その定量的な動態解析手法は未だ標準化できていないうえ、存在様式を把握するための標準品すら無い。そこで本研究では、研究代表者の強みである薬学的「微粒子安全科学研究」での知見を背景に、グローバルなプラスチック微粒子問題への挑戦として、多岐にわたるプラスチック微粒子の標準品を獲得し、動態解析手法および存在様式解析手法の確立を目指す。本年度は、前年度に作製した劣化プラスチック微粒子サンプルを用いて貪食系細胞に対する毒性評価を実施した。プラスチック微粒子サンプルとして、生産量の最も多いポリエチレン(PE)を選択し、高出力光処理することで劣化PE(d-PE)を作製した。THP-1及びRAW264.7細胞に対する細胞障害性を評価したところ、劣化前のPEがほとんど細胞毒性を示さないのに対し、d-PEが強い細胞毒性を示した。さらに、d-PEによる細胞死は、リソソーム障害によるオートファジー経路の変化が関わっていることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した内容に沿って、研究が進行しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、d-PEによって認められた細胞死の詳細な機序解明に向けて、d-PEの細胞内動態を追跡するのみならず、ミクロな視点からのd-PEに対する細胞応答の情報を合わせて、ヒト健康に与える影響解析に資する情報の集積を図る。さらに、得られた知見が他の材質のプラスチック微粒子でも起きるのかを確認すべく、ポリスチレンやポリ塩化ビニルなどについてもプラスチック微粒子を作製し、標準モデルの獲得と各種測定系の構築を図ると共に、ADMET解析手法の基盤を構築することで、プラスチック微粒子のリスク解析基盤を提案していく。
|