研究課題/領域番号 |
21K19344
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
西川 喜代孝 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40218128)
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研究分担者 |
和久 剛 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (40613584)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | SARSコロナウイルス / 受容体結合部位 / ペプチド / SARS-CoV2 / 受容体結合 / ACE2 / ペプチドライブラリー / 細胞内輸送 / 新型コロナウイルス / Sタンパク / ペプチドライブラリー法 / クラスター効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の侵入に関わるSタンパクの受容体結合部位を標的として、それ自体がクラスター効果を発揮するようにデザインされた多価型ペプチドライブラリーをスクリーニングすることにより、一連の多価型ペプチド性Sタンパク阻害薬を同定する。さらにこれらの分子群に対して、抗ウイルス活性を有する新たなオルガネラ、誘導性amphisomeの形成能を指標に絞り込みを行う。最終的に、細胞レベルでの感染性に対する阻害効果を検討し、優れた治療薬候補として確立する。
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研究実績の概要 |
1)SタンパクのRBD(S1-RBD)を標的としたペプチド性阻害薬の同定(西川・和久);バキュロウイルス発現系を用いてS1-RBDのC末端にHis-tagを導入したS1-RBD-(H6)、ならびにACE2との結合に重要な役割を果たしているアミノ酸(K417)に個別に変異を導入した一連の変異体を作成し、多価型ランダムペプチドライブラリー法による高親和性モチーフの取得を行った。なお、S1-RBDならびにK417A-S1-RBDとACE2との結合活性はELISA法を用いて検討済みであり、S1-RBDに比べK417A-S1-RBDでは結合活性が顕著に減弱していることを確認している。多価型ランダムペプチドライブラリー(ランダムアミノ酸を含むペプチドを4本有する4価型ペプチドライブラリー)をセルロースシート上に合成したものを作成した。1次ライブラリーでは7アミノ酸からなるライブラリー部全てについてランダムアミノ酸を導入している。本シートを、野生型S1-RBDとK417A-S1-RBDでブロットし、抗His-tag抗体を用いて各スポットへの結合量を評価した。スクリーンングにあたっては、K417A-S1-RBDよりも野生型S1-RBDにより強く結合することを指標にした。1次スクリーニングで決定した最適アミノ酸とその部位に関する情報をもとに、2次ライブラリーを作成し、同様の検討を行った。これまでに、4次スクリーニングまで進行しており、候補となる5次スクリーニング用のライブラリーを3系統樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、RBDとACE2との結合に最も重要な役割を果たしているアミノ酸がK417であることを同定したことから、今回野生型S1-RBDとK417A-S1-RBDを用いて多価型ランダムペプチドライブラリー法による高親和性モチーフの取得を試みた。スクリーニングは4次まで進行しており、その都度重要なアミノ酸とそのポジションを同定することができており、順調に推進しているといえる。最終的には、7次スクリーニングまで到達し、7アミノ酸から構成される高親和性モチーフの取得を試みる。モチーフが取得出来次第細胞レベルへの検討も推進してゆく。
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今後の研究の推進方策 |
1)K417を標的としたS1-RBD高親和性ペプチドのスクリーニングを推進する。スクリーニングは4次まで進行しており、最終的には、7次スクリーニングまで行い、7アミノ酸から構成される高親和性モチーフの取得を試みる。現在3系統まで拡充ができていることから、今後の進行具合によるが全体として20種程度の候補モチーフの取得を目標とする。モチーフが取得出来次第、4価型ペプチドを合成し、in vitroでの評価を行う。評価は、結合測度論的解析、並びにRBDとACE2との結合阻害を指標とした機能的解析、について行う。さらに、細胞レベルでRBDとACE2との結合活性を評価できる系(東京大学医科学研究所井上純一郎先生との共同研究)を用い、候補ペプチドについて阻害活性の検討を推進する。 2)抗ウイルスamphisomeを形成誘導する化合物の同定;4価型候補ペプチドから、S03量体との結合活性を指標にスクリーニングを行う。細胞レベルでの抗Sタンパク活性の評価を行う。蛍光標識Sタンパクを発現させたHEK293細胞ならびにMDCK細胞を各4価型ペプチドで処理し、amphisome形成能ならびにSタンパク隔離能を共焦点レーザー顕微鏡を用いて評価する。最終的に、細胞レベルでのSARS-CoV-2感染性に対する阻害効果を検討する。SARS-CoV-2の感染ならびに増殖が確認できるVeroE6細胞を用い、SARS-CoV-2の増殖に対する各4価型ペプチドの阻害効果を検討する。ウイルスの増殖はプラークアッセイにて定量的に評価する。
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