研究課題/領域番号 |
21K19348
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
安西 尚彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70276054)
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研究分担者 |
根本 哲宏 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80361450)
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60453586)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | トランスポーター / 分子キラリティ / 分子標的創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy,BNCT)は原子炉からの中性子と、組織に取り込まれた中性子との反応が大きい元素であるホウ素との核反応により発生する粒子放射線により、選択的に細胞を殺すという原理に基づく放射線療法で、陽子線、重粒子線などの一般放射線治療では出来ないがん細胞と正常細胞の区別が可能な「正常細胞に非常に優しいがん治療法」である。今回ホウ素化フェニルアラニンBPAの2つの鏡像異性体L体とD体という「分子キラリティ」認識が悪性腫瘍の薬物治療に有効な「選択毒性」に繋がることを着想し、トランスポーターを標的とする新規BNCT増感薬開発を行う。
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研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy,BNCT)は中性子と組織に取り込まれた元素であるホウ素との核反応により発生する粒子放射線により、選択的に細胞を殺すという原理に基づく放射線療法で、がん細胞と正常細胞の区別が可能な「正常細胞に非常に優しいがん治療法」であり、本研究は特にホウ素化フェニルアラニンBPAの2つの鏡像異性体であるL体とD体という「分子キラリティ」認識が悪性腫瘍の薬物治療に有効な「選択毒性」に繋がることを着想し、トランスポーターを標的とする新規BNCT増感薬開発を目指す。前年度「ヒトLAT1発現腫瘍由来細胞における不斉化合物in vitro取り込み評価」に関しては、研究分担者の松川が保有するLAICP-MS(レーザアブレーションICP質量分析)を用いた細胞内ホウ素測定システムの立ち上げを行い、LAT1及びLAT2安定発現細胞に取り込まれた微量ホウ素の同定に成功し、BNCT増感効果および毒性軽減効果評価のための基盤を確立したことを受け、今年度腫瘍型であるLAT1及び正常型であるLAT2の選択性を高めて行くことを目指したが、選択性の基盤となるそれぞれの阻害薬の特性を検討したところ、LAT1阻害薬JPH203のLAT1選択的阻害の確認は成功したのに対し、LAT2阻害薬KYT0284のLAT2阻害効果を確認することが出来なかった。2022年12月に研究代表者が年会長を務める第96回日本薬理学会年会/JPW2022大会の準備のために2022年の後半は研究の遂行が困難となったため、1年の補助期間延長の申請を行い、承認が得られたため、2023年度の1年を用いて、LAT1およびLAT2選択性の検討を再開する。「新規ホウ素不斉化合物群の設計・合成」に関しては、前年度に研究分担者および研究協力者とこれまでの実験結果の検討により、化合物S12の構造を基にした不斉化合物の構造設計を行い、ラセミ体、およびD体, L体の新規ホウ素化合物合成準備は整っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「ヒトLAT1発現腫瘍由来細胞における不斉化合物in vitro取り込み評価」に関しては、前年度研究分担者の松川が保有するLAICP-MS(レーザアブレーションICP質量分析)を用いた細胞内ホウ素測定システムの立ち上げを実施し、LAT1及びLAT2安定発現細胞に取り込まれた微量ホウ素の同定に成功したことで、BNCT増感効果および毒性軽減効果評価のための基盤を確立したが、今年度腫瘍型であるLAT1及び正常型であるLAT2選択性の基盤となるそれぞれの阻害薬の特性を検討したところ、LAT1阻害薬JPH203のLAT1選択的阻害を確認出来たのに対し、LAT2阻害薬KYT0284のLAT2阻害効果を確認出来ず、再度の検討が必要となった。しかし2022年12月に研究代表者が年会長を務める第96回日本薬理学会年会/JPW2022大会の準備のために今年度後半、研究遂行が困難となり、1年の補助期間延長申請に至った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の積み残しとなった選択性の基盤となるそれぞれの阻害薬の特性に関して再検討を行う。LAT2阻害薬KYT0284のLAT2阻害効果を確認出来次第、今年度に積み残された新規ホウ素化合物(ラセミ体およびD体, L体)合成を行い、研究代表者の安西らが樹立したS2-LAT1およびS2-LAT2細胞を用いて化合物スクリーニングを実施し、「ヒトLAT1発現腫瘍由来細胞における不斉化合物in vitro取り込み評価」に関しては、年度内の担がんモデル動物への中性子線照射実現に向け、研究分担者の松川が有するLAICP-MSを用いたBNCT増感効果および毒性軽減効果評価をまずる腫瘍細胞により実施し、適宜モデル動物へと移行する。
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