研究課題
挑戦的研究(萌芽)
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy,BNCT)は原子炉からの中性子と、組織に取り込まれた中性子との反応が大きい元素であるホウ素との核反応により発生する粒子放射線により、選択的に細胞を殺すという原理に基づく放射線療法で、陽子線、重粒子線などの一般放射線治療では出来ないがん細胞と正常細胞の区別が可能な「正常細胞に非常に優しいがん治療法」である。今回ホウ素化フェニルアラニンBPAの2つの鏡像異性体L体とD体という「分子キラリティ」認識が悪性腫瘍の薬物治療に有効な「選択毒性」に繋がることを着想し、トランスポーターを標的とする新規BNCT増感薬開発を行う。
本研究はホウ素化フェニルアラニンの2つの鏡像異性体のキラリティ認識が悪性腫瘍に有効な選択毒性に繋がることを着想し、トランスポーターを標的とする新規BNCT増感薬開発を目指した。ヒトLAT1発現腫瘍由来細胞での不斉化合物in vitro取り込み評価に関しては、LAICP-MSを用いた細胞内ホウ素測定システムの立ち上げを行い、細胞に取り込まれた微量ホウ素の同定に成功した。腫瘍型であるLAT1及び正常型であるLAT2の選択性増加については、既存LAT1阻害薬JPH203とLAT2阻害薬KYT0284それぞれの阻害効果を安定発現実験系の中での確認に留まり継続的な検討の必要性を再認識した。
陽子線、重粒子線などの一般放射線治療では出来ないがん細胞と正常細胞の区別が可能な「正常細胞に非常に優しいがん治療法」であるBNCTは我が国において病院設置型小型加速器が開発されたことにより世界で最初に国内医療機関での普及が大きく見込まれている。この適応拡大のためには腫瘍選択性が高いより有効な新規ホウ素化合物合成は不可欠であり、本研究が今後の創薬開発のための重要な基盤情報となるものと思われる。
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