研究課題/領域番号 |
21K19349
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 拓哉 東北大学, 薬学研究科, 教授 (70741031)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ストレス / 海馬 / 電気生理計測 / 同期活動 / 記憶 / 腹側海馬 / 脳深部記録 / 神経同期活動 / 脳波 / 情動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、継続的に起こるストレス反応の原因として、ストレス経験の記憶が、脳で過剰に繰り返し再活性化を考え、その実証に取り組む。具体的には、腹側海馬、扁桃体、側坐核の活動に着目する。これらの脳領域は、深部であるため計測が容易ではないため、計測法の確立を試みる。腹側海馬でのストレス記憶に対する応答や、こうした記憶の再生が生じた際に、扁桃体や側坐核で個々の神経活動がどのように影響を受けるか調べる。
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研究成果の概要 |
本研究では、脳深部領域の1つである腹側海馬の記憶に関わる神経活動がストレス感受性を引き起こすかどうか調べた。ストレス抵抗性を向上させるようなウイルスベクターを作成し、遺伝子ノックダウン手法を利用して、ストレス抵抗性マウスを作成した。さらに、こうしたマウスから腹側海馬の神経活動に及ぼす影響を神経スパイク記録法を用いて調べた。その結果、ストレスを負荷した後には、腹側海馬においてシャープウェーブリップルが増加していることを見出した。こうした特徴的な活動は、ストレス記憶を表象する神経細胞集団の同期的な再活性化と相関していることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はマウスから観察された結果であるが、海馬の構造やリップル波の機能はマウスとヒトで非常に類似しているため、記憶を基にした精神症状の発症メカニズムは、ヒトでも同様である可能性が考えられる。本研究成果は、本来脳に備わっている記憶のメカニズムが過剰に働くと、精神症状を発症するリスクが高まることを示した。この成果は、記憶能力や性格傾向の側面から、ストレス応答性の精神症状を考える重要な契機となる。また本研究では、運動をすることによって海馬のリップル波の頻度が減少し、ストレス誘発性の精神症状を抑制できる可能性を示した。
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