研究課題/領域番号 |
21K19353
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
仲 一仁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (70372688)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | オメガ3脂肪酸 / DHA代謝 / CML幹細胞 / Gタンパク質共役受容体 / mTORC1経路 / がん幹細胞 / V-ATPase / ピノサイトーシス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,生体内での慢性骨髄性白血病 (CML) 幹細胞の維持におけるオメガ3脂肪酸代謝の意義の解明を目的とした研究を行う.まず,CMLマウスモデルにドコサヘキサエン酸 (DHA)を投与し,CML幹細胞におけるDHAの代謝経路と自己複製能の解析を行う.また,Gタンパク質共役受容体Gpr82やLpar4/Gpr16のノックアウトマウスを用いて,CML幹細胞におけるDHAの代謝産物や下流のリピッドメディエータのシグナル伝達機構を解明する.さらに,V-ATPaseのノックアウトマウスを用いて,DHA代謝産物の液胞吸収を担うマクロピノサイトーシスの役割を明らかにする.
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研究成果の概要 |
本研究では, 慢性骨髄性白血病 (CML)のマウスモデルを用いて,生体内でのCML幹細胞の維持におけるオメガ3脂肪酸の下流の制御メカニズムの解析を行なった.その結果,CML幹細胞ではGタンパク質共役受容体の発現が亢進していることを見出した.このうちGpr82のノックアウト(KO)マウスを用いてCML幹細胞の維持におけるGpr82の役割を解析した.その結果,Gpr82 KOマウス由来のCML幹細胞を移植したマウスは生存期間が短縮し,細胞数も減少していることが明らかとなった.従って,Gpr82はオメガ3脂肪酸代謝産物の下流でCML幹細胞の未分化性の維持に重要な役割を担う可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
慢性骨髄性白血病 (CML)患者の生命予後はチロシンキナーゼ阻害剤 (TKI)の開発によって飛躍的に向上したが,再発が問題となっており,CML幹細胞はこのようなCMLの再発の原因となることが知られている.本研究では, CMLのマウスモデルを用いて,生体内でのCML幹細胞の維持におけるオメガ3脂肪酸代謝の意義を解析した.その結果, ドコサヘキサエン酸(DHA)は下流のGタンパク質共役受容体を介してmTORC1経路の不活化によりCML幹細胞の未分化性維持に関わる可能性が明らかとなった.従って,Gタンパク質共役受容体はCML幹細胞を根絶してCMLの再発を克服するための治療標的となることが示唆された.
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