研究課題
挑戦的研究(萌芽)
Gタンパク質共役型受容体 (GPCR)がヘテロダイマーを形成し、受容体のリガンド親和性やシグナル伝達などの機能変化を起こす。GPCRのヘテロマー化は副作用を抑えた創薬のターゲットとして注目されている。本研究では、MOR1DとGRPRの結合がどのようにクロスアクティベーションを起こしているか明らかにするために、MOR1DとGRPRのヘテロマー認識抗体、もしくは各々の受容体に特異的な抗体を人工的につなげたバイスペシフィック抗体の取得を行う。抗体でMOR1D受容体とGRPR受容体のヘテロマーを安定的に固定化し、ヘテロマーの立体構造解析を行うことで、世界初の立体構造を原子レベルで明らかにしたい。
GRPRに不活性型固定変異を導入して熱安定性をあげ、哺乳類培養細胞株Expi293とバキュロウイルスを用いた大量発現系で単分散性の高いGRPRの精製を行った。精製したGRPRは人工脂質二重膜(プロテオリポソーム)に再構築して抗原とし、マウスに免疫した。得られた抗体から変性したGRPRには反応しない立体構造認識抗体をリポソームELISA法や蛍光ゲルろ過法によりスクリーニングし、GRPRの細胞外領域に結合する立体構造認識抗体を5種類作製した。得られた抗体の塩基配列をシーケンスし、ヒトキメラ組み換えFabを作製した。MORも熱安定性の高い変異体をスクリーニングして精製を試みた。
本研究ではヘテロマーを安定化する抗体を開発し、GRPR-MOR1Dヘテロマーのクロスアクティベーションの分子機構を構造生物学的に解明することを目指す。独自のタンパク質精製技術と抗体作製技術を用いて、ヘテロマー認識抗体や、各々の受容体に特異的な抗体を人工的につなげたバイスペシフィック抗体などのヘテロマー安定化抗体を作製する。抗体安定化MOR1D-GRPRヘテロマーの構造情報はX線結晶構造解析およびクライオ電子顕微鏡単粒子解析により原子分解能で明らかにする。本研究におけるへテロマー安定化抗体取得技術は多くのGPCRヘテロマーの構造解析に応用できるため、ヘテロマー研究を大きく推進する。
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