研究課題/領域番号 |
21K19367
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
斉藤 繭子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20598031)
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研究分担者 |
岡本 道子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10593981)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 新型コロナウイルス感染症 / 細胞外小胞 / COVID-19 / SARS-CoV-2 / 感染リスク因子 / エクソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルスの感染経路は主に咳嗽や発声による飛沫感染であり、二次感染を起こす個人の特徴や生体因子については明らかにされていない。本研究ではアウトブレイクの感染源となる宿主(スーパースプレッダー)の感染リスク因子やそのインパクトを解明することを目的に、唾液中に含まれる細胞外小胞、エクソソ-ムに含まれるSARS-CoV-2のレセプターであるACE2、ウイルスのスパイク蛋白を活性化させるセリン膜貫通プロテアーゼや宿主由来の遺伝子の発現を解析する。
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研究実績の概要 |
本研究では新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 症例において、感染の成立に寄与する宿主因子を探索するため、ウイルスが宿主細胞へ侵入する際に関わる因子の解析を行うことを目的としている。このため、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が宿主細胞表面に結合する際のレセプターであるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)量、細胞結合時にウイルススパイク部分の開裂に関わるⅡ型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)量、および飛沫感染における細胞外小胞の役割について検討を進めている。このうち2021年度までに報告したヒト唾液中のACEとTMPRSS2の濃度の測定、SARS-CoV-2細胞培養からの細胞外小胞の検出について、2022年度に国内での臨床検体の収集と検出を進める予定であったが、2021年末から新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の流行に伴い国内の感染者が急増し、施設利用や研究体制が整わず保留した。一方、2022年度に世界的に主要なバリアントになったオミクロン株ではウイルスがACE2レセプターを介さずに細胞内に侵入することが他研究で報告され、これがオミクロン株に特徴的な感染者の若年化に寄与した可能性があるという推定や、口腔内上皮において、ACE2レセプターとTMPRSS2が中高年において年齢に伴い増加していることなど、宿主因子と易感染性との関連が他研究者からも示唆されてきている。また、SARS-CoV-2の細胞培養上清から分離した細胞外小胞の観察には胃腸炎関連ウイルスを対象とした先行研究で使用されている透過電子顕微鏡での撮影条件やウイルスの不活化について関連施設担当者との調整、保存検体利用のための共同研究者との調整等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)培養上清より分離した細胞外小胞を含む試料の電子顕微鏡による観察において、検体中に含まれる可能性のあるウイルス粒子と細胞外小胞の鑑別が十分にできていない。これに必要と思われる透過電子顕微鏡下での観察において、検討していた施設におけるバイオセイフティへの懸念より、実験施設利用について関係者間の調整ができず、研究の進行に支障を来した。また、新型コロナウイルスのオミクロン株による第6~8波の影響により、臨床研究や施設間の調整ができず、当初予定していた国内で収集された検体での実験に支障を来たしている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞外小胞の透過電子顕微鏡下での観察については、ウイルスを含有する可能性がある検体であっても不活化により持ち込みが可能な施設へ委託することで進められる目途が立ち、2023年度に再開する目途が立っている。臨床検体の収集については関東の1施設と調整を進めており、2023年度内に進めることができると考えている。
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